ファッションでも音楽でもスポーツでも、どんなジャンルもその人にしか出せないスタイルがある。“Style is Everything”。そう、だれかが言った、スタイルがすべて。『スタイルの履歴書』は、文字通りスタイルのある大人へのインタビュー連載。毎週月・水・金曜更新で、第12回目はスタイリスト・クリエイティブディレクターとして活躍する島津由行さんの半生を辿ります。
07. 原宿で見たもの、アメリカで買ったもの。
アメリカ行きの前、有田さんに連れられて原宿に立ち寄ることができました。千駄ヶ谷にあった垂水ゲンさんの「ハリウッドランチマーケット」と原宿の「極楽鳥」––––当時はデンマークのアースシューズ〈Kalso〉の店だったか極楽鳥と一緒になっていたか––––に行って、垂水さんに「サンフランシスコならポーク・ストリートがヒッピーのメッカだから行ったほうがいい」と教えてもらったり。それから表参道のブティック「HELP」も覚えています。〈Comme des Garçons〉のコーナーもあって面白い店でした。「ひだまりの街」という感じで素敵でしたね、原宿は。またここに帰ってこようと思いました。
初のアメリカはサンフランシスコ、ロサンゼルス、サンディエゴと巡って最後はハワイ。1ドル360円時代でしたが、現地価格が安かったから〈adidas〉の「タバコ」やタイダイした〈Fruit Of The Loom〉のTシャツ、〈LEVI’S〉の517なんかを買ったのは覚えています。ディテールがウエスタンでネイビーと白のリブがついているちょっとマリン・テイストのデザインのシャンブレー素材の古着のウエスタン・シャツも。このころからデザイン性の高い古着は好きでしたね。
ヒッピー全盛のアメリカに触れて「ファッションはルールに縛られず好きなことやればいいんだ」と思うと同時に、ユニバーサル・スタジオの近くの丘からLAの街を一望したとき、自分の小ささを痛感しましたね。
Profile
島津由行(スタイリスト・クリエイティブディレクター)
1959年、熊本県出身の九州男児。1981年にパリへ渡り、スタイリストとして活動をスタート。雑誌、広告、ミュージシャン、ショーなど、さまざまなフィールドを自由自在に行き来しながら、現在はギターメーカー〈フェンダー(Fender)〉によるアパレルブランド〈F is For Fender〉のクリエイティブディレクターの顔も。
インスタグラム @shimazuyoshiyuki