アンファッションとは何か。金子恵治 Vol.02 捉え方次第で変わるもの。
トレンドやTPOに縛られない服との向き合い方。流行を追うのではなく、自分だけの理由で服を選ぶ金子恵治が辿り着いた「アンファッション」という境地。そこには、最先端の服を武装として纏っていた時代を経て、自分らしさを体現できる服だけを選ぶようになったひとりの服好きの物語がある。第2回目は、エルメスのカシミヤニットについて。
エルメスのオレンジが教えてくれたこと。
寒くなってきた。そう思ったとき、〈エルメス〉のカシミヤニットを買った。鮮やかなオレンジ色のフルジップドライバーズニット。袖を通してみると、その暖かさと心地よさに驚いた。これだ、と思った。寒い日の事務作業や移動には、このニットが最高だ。
ふと、この捉え方はファッションなのだろうか、と考えた。この連載がスタートしてから、いちいちファッションなのかアンファッションなのか考えてしまうようになった。
