スタイルの履歴書。大貫憲章 #6

Text: Kenichi Aono

Edit: Yusuke Suzuki

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ファッションでも音楽でもスポーツでも、どんなジャンルもその人にしか出せないスタイルがある。“Style is Everything”。そう、だれかが言った、スタイルがすべて。『スタイルの履歴書』は、文字通りスタイルのある大人へのインタビュー連載。毎週月・水・金曜更新で、第13回目は音楽評論家・ラジオDJ、そして2025年に45周年を迎えたDJイベント『LONDON NITE』を主宰する、大貫憲章さんが登場です。

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06. 「自分たちもやってみよう」とバンドを組む。

 ラジオで仕入れた情報をもとに買いにいっていたレコード屋は、道玄坂の「ヤマハ」、それから新宿の「帝都無線」にも足を運びました。当時だと日本盤が出ていないものも多かったのでもっぱら買えるのは輸入盤。それも売っているところが限られていたし、ロックのコーナーなんてまだなかったですよね。

 GSのライブを観て「自分たちでもやってみよう」と高校のときにバンドを組むんです。ぼくはボーカル。楽器ができなかったというのもあるんですが歌ならできるだろう、やるなら目立つのがいい、という理由です。ギター、ベース、ドラム、ボーカルの4ピース・バンドでGSのバンドのひとたちが先生みたいなものでした。洋楽のカバーばかりだったので、「この曲はどうやってやったらいいんですか?」と質問したりして。新宿厚生年金会館の小ホールでアマチュア・バンドばかり出るコンサートがあって、そこで演奏した記憶があるのと、あとは道玄坂のヤマハの1階でも一度だけやらせてもらいました。ただ、演奏してみると実力がわかるじゃないですか。だからやるより聴いてるほうが楽しいや、って思いましたね。いいと感じた音楽をひとに紹介するのが性に合ってるやって。

 そんなふうに音楽にどっぷりだったからほかの遊びはしなかったですね。ちょっと色気づいてファッションも気になりはじめていたのでアイビーのアイテムを新宿に買いにいった程度。母親と一緒にですけど(笑)。

  • 1970年代の後半におそらく自宅で撮影された写真では、〈SEX(のちのSeditionaries)〉のニットを着用。ちなみにこのニットはいまでも所有している。

    1970年代の後半におそらく自宅で撮影された写真では、〈SEX(のちのSeditionaries)〉のニットを着用。ちなみにこのニットはいまでも所有している。

Profile

大貫憲章(音楽評論家・ラジオDJ)

1951年2月生まれ。大学在籍中より音楽評論家としてキャリアをスタートし、その活動歴はすでに半世紀以上。特にパンク・ロックへの造詣が深く、1980年6月に新宿の「ツバキハウス」でスタートした『LONDON NITE』は現在も続くDJイベントで、その影響力は計り知れません。2025年1月には『HISTORY OF KENSHO ONUKI 大貫憲章 回顧録』を出版。毎週金曜日の24時からinter FMで『Kenrocks Nite – Ver. 2』が放送中。

インスタグラム @kensho_onuki

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