ファッションでも音楽でもスポーツでも、どんなジャンルもその人にしか出せないスタイルがある。“Style is Everything”。そう、だれかが言った、スタイルがすべて。『スタイルの履歴書』は、文字通りスタイルのある大人へのインタビュー連載。毎週月・水・金曜更新で、第4回目は〈ポータークラシック〉創設者の吉田克幸さんの半生を辿ります。
7. 築いてきたものをすべて置いてきた。
もともと俺は吉田のなかでは会社の外のひとたちとのやりとりを担っていたところがあったので、社内のひとたちとはあんまりいろいろ話すようなことはなかった。それは晩年の親父ともそうでしたね。そういう「外担当」みたいな役割は、いま考えると馬鹿みたいなことやってたな、と自分でも思う一方で、それが仕事につながっていたのも事実。その当時そういうことは会社のみんなはわかってなかったし誰も評価していなかったけど、俺がつくったものはちゃんと結果を残して最終的に会社の財産になったんです。
一緒に仕事をする相手で誰が有名だとかそんなことは一切考えていなかった。だから誰それを紹介してほしいなんていうのもなかったですね。そういうのは気持ち悪くて。感性を認めあえるひとと自然な流れで仕事をしていただけです。そのころ、仕事相手から困っていると相談されたら手助けしたりもしましたが、そんなひとたちがのちに成功することも多かったなぁ。そのなかにはズル賢いヤツも結構いたけど、それもまたある種の才能なんだよね。まぁそういうのは俺には関係ないやって思っていましたが。
そんなふうにしてそれまで俺が長年にわたってつくってきたものや築いてきた関係を全部置いて、本当にゼロからはじめたのが〈ポータークラシック〉。このとき一旦すべてをリセットしたのは、いま振り返ってみてもとてもよかったことのように思います。
Profile
吉田克幸(ポータークラシック 代表)
1947年生まれ。1981年にはニューヨーク・デザイナーズ・コレクティブのメンバーに日本人で初めて選出された。2007年に息子の吉田玲雄と〈ポータークラシック〉を設立し、刺し子文化など「メイドインジャパン」にこだわったものづくりを続けている。
HP:https://porterclassic.com/
Instagram:@porterclassic_official