スタイルの履歴書。大貫憲章 #12

Text: Kenichi Aono

Edit: Yusuke Suzuki

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ファッションでも音楽でもスポーツでも、どんなジャンルもその人にしか出せないスタイルがある。“Style is Everything”。そう、だれかが言った、スタイルがすべて。『スタイルの履歴書』は、文字通りスタイルのある大人へのインタビュー連載。毎週月・水・金曜更新で、第13回目は音楽評論家・ラジオDJ、そして2025年に45周年を迎えたDJイベント『LONDON NITE』を主宰する、大貫憲章さんが登場です。

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12. ピストルズと思って観ていたクラッシュがのちにDJのきっかけに。

 ロンドンの「THE 100 CLUB」でピストルズが演るのを知ってそこに向かいました。対バンでクラッシュというのが出る、とあって。そのころはクラッシュを知らなかったんです。それで最初に出てきたバンドを観て「これがクラッシュか」と思って、しばらくして次のバンドが出てきた。戦闘的で目力が強くて短髪を立てていて、パンクだなぁという感じだったんですが、写真で見ていたピストルズとはどうも違う。実はこれが最初期のクラッシュで、ぼくはそれをピストルズと思い込んでいたんですよね(笑)。結局このときはそこで帰ってしまって、クラッシュのあとに出たピストルズは観ていないんです。

 クラッシュはぼくがDJをはじめるきっかけにもなったバンド。1980年にクラッシュのツアーに同行させてもらって。ライブ会場でバリー・マイヤーズがDJでレゲエをかけていて、自分が好きな音楽をこんなふうにかけるのはいいな、と思ったんです。それで帰国して西麻布のトミーさん(富久慧。DJ)のバー「Tommy’s House」でやらせてもらうことになりました。「LONDON NITE」のスタートは実は新宿「ツバキハウス」じゃなくてこのお店なんですよ。命名はトミーさん。

 「LONDON NITE」は「ツバキハウス」がクローズしたあとは場所を移していまも続けています。DJは音楽評論と違って反応が目の前ですぐわかる。音楽を通じてお客さんとコミュニケーションできるのが楽しいんです。

  • 1991年以来、クリスマスシーズンに「CLUB CITTA'」で年に1度開催されていた「LONDON NITE X'mas Special」。写真は初回の1991年の楽屋でのひとコマ。

    1991年以来、クリスマスシーズンに「CLUB CITTA'」で年に1度開催されていた「LONDON NITE X'mas Special」。写真は初回の1991年の楽屋でのひとコマ。

  • 1991年にの記念すべき第1回目の「LONDON NITE X'mas Special」に出演したHi-STANDARD。写真は頭にリボンをつけたボーカル&ベースの難波章浩さん。

    1991年にの記念すべき第1回目の「LONDON NITE X'mas Special」に出演したHi-STANDARD。写真は頭にリボンをつけたボーカル&ベースの難波章浩さん。

  • 1990年に札幌で結成されたロカビリーバンドのSIDE-ONEも出演。Hi-STANDARD、SIDE-ONE、STRIKES、GRAPHIC TOMB STONEの4組が初回の「LONDON NITE X'mas Special」に出演した。

    1990年に札幌で結成されたロカビリーバンドのSIDE-ONEも出演。Hi-STANDARD、SIDE-ONE、STRIKES、GRAPHIC TOMB STONEの4組が初回の「LONDON NITE X'mas Special」に出演した。

Profile

大貫憲章(音楽評論家・ラジオDJ)

1951年2月生まれ。大学在籍中より音楽評論家としてキャリアをスタートし、その活動歴はすでに半世紀以上。特にパンク・ロックへの造詣が深く、1980年6月に新宿の「ツバキハウス」でスタートした『LONDON NITE』は現在も続くDJイベントで、その影響力は計り知れません。2025年1月には『HISTORY OF KENSHO ONUKI 大貫憲章 回顧録』を出版。毎週金曜日の24時からinter FMで『Kenrocks Nite – Ver. 2』が放送中。

インスタグラム @kensho_onuki

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