ファッションでも音楽でもスポーツでも、どんなジャンルもその人にしか出せないスタイルがある。“Style is Everything”。そう、だれかが言った、スタイルがすべて。『スタイルの履歴書』は、文字通りスタイルのある大人へのインタビュー連載。毎週月・水・金曜更新で、第14回目は演出家として世界のフィールドで活躍し続ける、若槻善雄さんの裏方としての美学を教えてもらいます。
08. もっととんがったものをやりたい!
当時「タッチ」がやっていたクライアントは、いわゆるデザイナーズ・ブランドとはちょっと違った路線のところが多かったけど、こっちは若かったからもっととんがったものに意識が向いているわけです。〈MEN’S BIGI〉や〈NICOLE〉、〈STUDIO V〉なんかのショーのほうがかっこよく見える。音楽も最新のもので刺激的でしたから。
そんなあるとき、外部スタッフの照明の方から「四方さんのところでひと探しているけど、善雄くる?」といわれました。この方は江橋さんのところと四方さん両方の仕事をしていたんですね。それでぼくは「行きたい行きたい!」と志願して四方さんの「サル・インターナショナル」にお世話になるんです。
大分の「トキハ ファッションラリー」のことは前に触れましたが、学生時代に見てかっこいいと感じたショーって四方さんが演出を手がけていたものが多かった。そんなこともあって、喜んで移籍しました。
江橋さんのところでやった最後の仕事は、確か山本寛斎さんの「寛斎元気主義」(1984)。後楽園球場(現・東京ドーム)の特設テントで開催したイベントで、山口小夜子さんや倍賞美津子さんが出演されていましたね。その前の「大寛激祭 KANSAI エネルギーリレーション」(1983。蔵前国技館では最初で最後のファッション・イベント)も大変だったなぁ。時間がなくて全然帰れなくて。結局、三徹くらいしましたから。
Profile
若槻善雄(演出家)
1962年、長野県長野市出身。パリ、東京コレクションを中心に音楽ライブやアート展などの演出を手がける「ドラムカン(DRUMCAN)」所属。40年以上、さまざまなブランドを演出家という仕事で支え続けるプロフェッショナル。生涯現役を掲げて裏方の美学を貫きながら、今日も新たなクリエイションを発信します。
インスタグラム @yoshio_wakatsuki