スタイルの履歴書。 吉田克幸 #11

Text: Kenichi Aono

Edit: Yusuke Suzuki、Miyoko Hashimoto

REGULAR

ファッションでも音楽でもスポーツでも、どんなジャンルもその人にしか出せないスタイルがある。“Style is Everything”。そう、だれかが言った、スタイルがすべて。『スタイルの履歴書』は、文字通りスタイルのある大人へのインタビュー連載。毎週月・水・金曜更新で、第4回目は〈ポータークラシック〉創設者の吉田克幸さんの半生を辿ります。

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11. 日本から世界に打って出る企画力、発想力。

 前にも言いましたがものをつくることができるひとがいてこそ、俺たちはやっていけるという思いがずっとあって、自分が独立するときにはそういう部分をもっと真っ直ぐに出していけたらと思っていました。ありがたいことにそういうことが好きなひとたちが集まってきてくれて。これはかけがえのない財産ですよね。そんな仲間たちがいることで、いつくたばっても大丈夫という気持ちです。

 どうして日本の伝統技術が置かれている状況を理解してそこにお金を注ぎ込むところが少ないんだろう、なんていうことをよく考えますが、それって企画力や発想力がないからなんですよね。世界に打って出られる企画を自分たちで考えられず、どこかのパクリを安く作ることしかできない。商売だからしょうがない部分もあるんだろうけど、我々みたいな小さいところは絶対それやっちゃだめ。だからポータークラシックは、自分の考えていることを素直に、存分に表現したいというシンプルなところがスタートなんです。

 何かをはじめるときに、しっかりお題目を掲げてそれに向かってやるという考えもあるとは思うんですが、俺は本当にすごいものは黙って作るものだと思っていて。理屈をこねるんじゃなく、ただ作る。あとはお客様が判断するというね。だからいいとか悪いとか言われても、それはありがたく受け止めるようにしています。だってそれはどんな意見であれものを見てくれてのことだからね。

  • 「ポータークラシック 銀座」は2022年にアンティークショップやレストラン、カフェなどが入る「銀座ファイブ」の2階にリニューアルオープン。映画美術監督の種田陽平さんと東宝映像美術により“旅する帆船”をテーマにお店の内外装からも、吉田克幸さんのクリエイションを感じることができます。

    「ポータークラシック 銀座」は2022年にアンティークショップやレストラン、カフェなどが入る「銀座ファイブ」の2階にリニューアルオープン。映画美術監督の種田陽平さんと東宝映像美術により“旅する帆船”をテーマにお店の内外装からも、吉田克幸さんのクリエイションを感じることができます。

Profile

吉田克幸(ポータークラシック 代表)

1947年生まれ。1981年にはニューヨーク・デザイナーズ・コレクティブのメンバーに日本人で初めて選出された。2007年に息子の吉田玲雄と〈ポータークラシック〉を設立し、刺し子文化など「メイドインジャパン」にこだわったものづくりを続けている。

HP:https://porterclassic.com/
Instagram:@porterclassic_official

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