TECH FREAK - ギークな未来百貨。
Vol.2 Google Pixel 9 Pro Fold

ギークな未来百貨。Vol.2 Google Pixel 9 Pro Fold ギークな未来百貨。Vol.2 Google Pixel 9 Pro Fold

Photo: Kai Naito

Edit: Shuhei Wakiyama

REGULARTECH

身近なデバイスや便利なガジェット、生活を豊かにする家電製品から、新しいサービスまで。最新テックのいまにフォーカスする連載企画。第2回目は、9月に発売されたばかりの最新折りたたみスマートフォン「Google Pixel 9 Pro Fold」を取り上げる。

一挙両得な折りたたみスマートフォン。

いやはや、例年にも増して今年の夏は長かった。9月末でも、多くのひとがサンダルを履いていた。こんな気候が続くと、冷房の効いた部屋に引きこもりたくなってくる。そんなときのお供といえばスマートフォンだ。

インターネットとスマホが普及したおかげで、どこにいても、どんな姿勢をしているときでも、ほとんどのことができるようになった。電車のなかで、小さな画面で映画を流し観するなんて、想像もできなかったことが当たり前のように行われている。さすがにテクニカルな作業には向いていないけれど、そこはどっしりとPCに迎える時間をつくればいい。メールの返事なんかは早いに越したことはないのだから、スマホからの即レスが一番。

なんにせよ、いまはもうスマホ社会。しかも完全に成熟している。昔は安い=悪いなんてイメージだったけれど、普通に使えるものが多くなった。でも、そこに対して、〈グーグル(Google)〉は進化の歩みを止めない。後発企業ということもあるけれど、話題の機種を出し続け、年を重ねるごとにとても大きな存在となっているように感じられる。

折りたたんだGoogle Pixel 9 Pro Fold これが移動時などによく使う折りたたんだ姿の「Pixel 9 Pro Fold」。独特な形状には、専用ケース(¥7,920)があると落としても安心できる。

〈グーグル〉といえば、なによりも検索サービスが有名だ。でも実は、スマホ開発の歴史に、割と早い段階から関わっている。現状、iOSかAndroid OSのどちらかが搭載されているけれど、後者は〈グーグル〉や〈クアルコム〉などの数社が集まり2007年に開発したものだ。特徴はオープンソースということ。Linuxベースで誰でも開発できる自由さは、ネットの普及を促進させるひとつの要因となった〈グーグル〉らしさを感じさせる。

そこからときを経て、〈グーグル〉が本格的にスマホ市場に参入したのは2016年。「Pixel」シリーズを発表し、2018年の「Pixel 3」から日本での展開が始まった。そして、今年の9月に発売された最新作のなかでも上位機種として存在しているのが、今回取り上げる「Pixel 9 Pro Fold」というわけ。

開いたGoogle Pixel 9 Pro Fold インナーディスプレイで画面分割中。大画面でひとつのコンテンツを観るもよし、写真のように画面分割するのもよし。両手で持つことになるので、座っているときや立ち止まっているときに使うのがおすすめ。

この「Pixel 9 Pro Fold」の一番の特徴は、見ての通り折りたたみできるということ! アウターディスプレイには6.3型有機ELディスプレイがあり、開くと正方形に近い8型インナーディスプレイが現れる。これがタブレットサイズでとにかく使いやすい。開閉するのが怖いし面倒くさくない?なんて最初は思っていたけれど、全然そんなことない。むしろ、大画面万歳。映像や漫画なんかは特に観やすく、やはり大きいってことはいいことだと実感した。

WEBの編集者としてなにより嬉しかったのが、使うディスプレイによってサイトの見え方が異なること。折りたたんだ状態のアウターディスプレイにはスマホ用のデザインが現れ、開いた状態のインナーディスプレイにはPC用のデザインと、自動で変換されるのだ。これが便利すぎる。サイトのデザインや記事の見え感がチェックできるので、これひとつあればかなりのことができるようになった。

それでいうと画面分割も便利だった。閉じていたら上下二画面、開いていれば左右二画面に別の情報を表示することができる。地図を観ながら調べごともできるし、YouTubeで動画を観ながらメールだって返せてしまう。たとえば、ワーカホリックなひとはキーボードを繋いでみてもいい。そんな風に、マルチタスクが当たり前の現代を表しているような機種に思えた。

Google Pixel 9 Pro Foldの背面 ケースを外した背面。片面にはアウターディスプレイ、もう片面には10.5MPのマクロ撮影対応の超広角カメラ、48MPの広角メインカメラ、10.8MPの望遠カメラの3つのカメラがある。光学ズームは5倍で、ソフトウェアによる超解像ズームは20倍が可能。このカラーはポーセリン、つまり磁器のような白さとサラリとした肌触りを楽しめる。マットな仕上げの​背面ガラスと、側面の100%リサイクル素材を使用した光沢仕上げアルミニウムのコントラストは高級感を感じさせる。
  • インナーディスプレイ使用時はPCと同じデザインで見ることができる。

    インナーディスプレイ使用時はPCと同じデザインで見ることができる。

  • これが普通のスマホと同じように見えるアウターディスプレイの見え方。

    これが普通のスマホと同じように見えるアウターディスプレイの見え方。

〈グーグル〉の折りたたみスマホはこれが2代目で、前作と比べて軽く、薄くなり、とても取り回しがよくなった。折りたたみ状態なら、近ごろのスマホサイズと比べて違和感がないし、もちろん片手で持てる。丸く仕上げた角もとても好印象。ここまで完成度が高いと、これからハード面の変化は、ほぼマイナーアップデートとなってしまうのではと心配してしまうほど。でも実際のところ、〈グーグル〉が目指している進化はそこではないような気がする。

ではなにが本筋かというと、生成AI(人工知能)とスマホの融合だ。対話型AIのBardが誕生し、Geminiへと今年名称を変更したそれは、常に進化している。無数に増え続けるネットの情報を吸収し、質問に返答するという行動は、〈グーグル〉の得意とする分野で十八番。また、40ヵ国語以上に対応していてAIと会話できるGemini ライブチャットも、Gemini Advancedという月額プランに入らずに無料で使えるようになった。画像検索に飽き足らず、動画からも検索できるようにしたというのも驚きだ。こういうハードウェアやアプリ上だけに囚われない進化が〈グーグル〉には期待できる。そして、お得意の編集マジックもお見事。色味の変換や周辺の情報から予測してくれるAI加工処理はなかなかの精度を持っていて、軽く見るぐらいなら本当に気づかないくらいだった。

  • 「Pixel 9 Pro Fold」の写真機能を試してみた。まずは動く新幹線。どうでしょう?

    「Pixel 9 Pro Fold」の写真機能を試してみた。まずは動く新幹線。どうでしょう?

  • 実はうまく撮れなかったので、きほどの写真は消しゴムマジックしたもの。パッと見まったく違和感ない!

    実はうまく撮れなかったので、きほどの写真は消しゴムマジックしたもの。パッと見まったく違和感ない!

  • お次は一緒に出張へ行っていたフォトグラファーの内藤さんとのひとコマ。

    お次は一緒に出張へ行っていたフォトグラファーの内藤さんとのひとコマ。

  • こちらも実はひとが映り込んでしまったので消しゴムマジックで消したもの。せっかくなので、マンホールも消してみた。これも言われなければ気づかないくらいの精度。

    こちらも実はひとが映り込んでしまったので消しゴムマジックで消したもの。せっかくなので、マンホールも消してみた。これも言われなければ気づかないくらいの精度。

  • 次はこんな複雑なところにチャレンジ。

    次はこんな複雑なところにチャレンジ。

  • ちょっと間違い探しみたいで楽しい。

    ちょっと間違い探しみたいで楽しい。

  • この秋に実装されたAIによるズーム画質向上にもチャレンジ。すごく小さかったものが予測生成されるということに驚く。

    この秋に実装されたAIによるズーム画質向上にもチャレンジ。すごく小さかったものが予測生成されるということに驚く。

「Pixel」シリーズのCMは、旅行中に使っているような設定だ。実際に出張へ持っていってみて、その理由がどこか分かったような気がした。分からないことを教えてくれるし、できないことを可能にしてくれる。そして、なによりも暇のつぶしがいがあるということ…。ちなみに、個人的には両親に勧めたいと思った。現役を退き、PCとスマホからタブレットとスマホという組み合わせに行き着いているけれど、これなら1台で済む。プレゼントしたいけれど、少し金額面がネック…。ハイエンドスマホは素晴らしいけれど、雑に扱って画面を割ってしまうこともあるので、もう少しバリエーションがあると嬉しい。でも、2Dガラスの採用など、しっかりとした強度があるので、これ1台を長く使えるだろうなあ。

〈グーグル〉Pixel 9 Pro Fold 256GB ¥257,500、512GB ¥277,500(グーグル・ジャパン) 〈グーグル〉Pixel 9 Pro Fold 256GB ¥257,500、512GB ¥277,500(グーグル・ジャパン)

INFORMATION

グーグル・ジャパン