Good Watch, Good Style - 時計と服のいいカンケイ。Vol.08 PATEK PHILIPPE CALATRAVA 6196P
令和のいま、あらゆることがスピード重視で進んでいる。例えば、求められる仕事の結果や作業効率、あるいはぼくらが享受するサービスの面ではタッチ決済、ネット診療、スキマ時間の活用とか。すべては進化するテクノロジーの上に成り立っているけど、無駄を省きたがる社会の構造と減り続ける日本の人口もこれに加担しているのかな。
この疑問を「チャットGPT」に投げたら、ズバッと解決してくれたりして。
考えてみると、辞典を開くなんて過去のこと。ググれば、答えのあるサイトにわざわざ飛ばなくても、生成AIがその概要を示してくれるようになった。
ぼくらは日々、ローコストで新しいテクノロジーに触れ、そこからさまざまな恩恵を受ける一方で、気づかぬうちにじわじわと大切な時間を溶かしている。モニター越しについつい要らぬことまで調べたり、買う気のないモノまで見てみたり、ただただSNSを流し見したり。これこそ可処分時間の浪費であり、社会の生産性の罠といえるだろう。
そういえば、ぼくは歩くスピードが速いとよくいわれるが、以前田舎の友達と並んで歩いていたら、走ってるようだと驚かれた。そこには単純に歩く速度の違いもあるが、生活する上での都会と田舎のスピードの違いもあると思う。よくも悪くもこっちはいろいろとペースが早いからね。プラスアルファ、ぼくの方がちょっとだけ人生に前のめりかも(笑)。
そんな忙しい世の中に突然、姿を現したのが、美しい表情の時計だった。
〈エンジニアド ガーメンツ〉シャツ ¥36,300、タイ ¥9,900(エンジニアド ガーメンツ)、〈ニードルズ〉×〈ファクトリー900〉サングラス ¥60,500(ネペンテス)
〈フォルメ〉サイドゴアブーツ ¥90,200(フォルメ)
これは〈パテック フィリップ(PATEK PHILIPPE)〉の「カラトラバ6196P」で、今年4月に開かれた時計の祭典「WATCHES AND WONDERS 2025」で披露されたばかりの話題作だ。
そもそも「カラトラバ」といえば当連載の初回を飾った時計でもあり、誕生から100年近く経ついまも時計好きを虜にする。そこには「機能がフォルムを決定する」というバウハウスの精神が息づいているのだ。
この時計のキーになるのが、男心をくすぐるヴィンテージライクな文字盤。それを叶えたのがローズゴールドのメッキで、ココアカラーとでもいいたくなる絶妙なトーンだ。これにグレーで覆われたホワイトゴールドのアワーマーカーと針、とても控えめなスモールセコンドが加わり、凛々しい表情を描く。
そして、ケースは38ミリのプラチナ製。大きすぎず小さすぎないサイズ感で、ベゼルに光が当たると、この時計はさり気なく自らの存在を主張する。
実はケースの外側、6時の位置には一粒のダイヤモンドがあしらわれているのだが、ここですべてを明かすのもあれかと思い、それはぜひ〈パテック フィリップ〉のサイト上で確かめてほしい。
ムーブメントは最小65時間のパワーリザーブを誇る、手巻きのキャリバー30-255 PS。その精緻な姿は持ち主がいつでもサファイヤクリスタルのケースバックから眺められる。
コーディネートするなら、あえて洗いざらしのシャツに合わせてみてはどうだろう。カジュアルな格好にもよくなじむし、梅雨になれば、サイドゴアブーツと一緒の日もあると思う。その汎用性の高さはやはりフェイスの表情にあるのだが、ずっと見ているとこれが愛おしく感じてくる。コミュニケーションが取りやすい手巻きっていうのも関係しているはず。
人生はスピードに乗れば乗るほど、大事なモノを取りこぼす。だから、意識してスローな時間をつくることも必要だと思う。好きなモノを愛でるというのが、実はそのひとつにちょうどいい。
ケース : プラチナ、38 mm
厚さ : 9.33 mm
ムーブメント:手巻き
パワーリザーブ:最小65時間
価格 : ¥7,460,000
電話:03-3255-8109
オフィシャルサイト
電話:03-6419-1798
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電話:03-3400-7227
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電話:03-6240-6558
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