高橋ラムダのスタイルコード。
Vol.2 トレンチコート
ラムダさんがトレンチコートを意識するようになったきっかけってあるんですか?
1983年の『THE FACE』に載っていた、マルコム・マクラーレンの格好(気になる方は“THE FACE Malcolm McLaren”で検索)に衝撃を受けたのが最初かな。「ワールズエンド」のバッファローコートに〈ティンバー〉のイエローブーツ、頭にはマウンテンハットをふたつ重ねて被ってて。あれを見てから、トレンチコートに目覚めていった気がします。
バッファローコートからトレンチコートへの飛躍はどういう流れで?
裾をぶった切ったショートトレンチとか、いわゆる“変形トレンチコート”みたいなものってあるじゃないですか。おれの中では、あのバッファローコートも、その延長線上にあるアイテムなんですよ。襟の形しかり、フロントの深いダブルの合わせしかり。ただ、マルコム・マクラーレンの格好を真似したくてたまらなかったけど、20代そこそこでバッファローコートを買おうとはならない。勝手にすごく高いものだと思ってたし。とりあえず「ワールズエンド」の当時モノを探すことが非現実的すぎて。
どうしてマルコム・マクラーレンの着こなしが、当時のラムダさんにそれほど刺さったんでしょうか?
スタイリング自体はもちろんだけど、惹かれたのはパンクの精神性ですね。マルコム・マクラーレンといえばパンクのひとだけど、ライダースを着て、裾をロールアップして〈マーチン〉を履く、みたいな格好をしてるわけじゃない。いかにもな格好=パンクってことではなくて、トラディショナルなものをぶっ壊すっていう姿勢がパンクなんだなって。それに気づいてから、自分のなかでファッションの自由度がすげえ広がったっていうのはあります。
この連載の第一回目でも「裏切りがないとコスプレになってしまう」という話をされていましたね。
やっぱりそれは、彼からの影響が結構あるかも。それ以前はパンク好きならパンクの格好をしないといけないって思い込んでたけど、「あのマルコム・マクラーレンがアメリカの靴なんて履くんだ」みたいな。しかも〈ティンバー〉の靴紐を茶色に変えたりしてるのね。速攻ハンズで茶色の革紐を買って、同じようにカスタムしたなあ。