スタイルの履歴書。小林節正 #4

Text: Kenichi Aono

Edit: Yusuke Suzuki

REGULAR

ファッションでも音楽でもスポーツでも、どんなジャンルもその人にしか出せないスタイルがある。“Style is Everything”。そう、だれかが言った、スタイルがすべて。『スタイルの履歴書』は、文字通りスタイルのある大人へのインタビュー連載で、毎週月・水・金曜更新。第15回目に登場いただくのは、〈. . . . .RESEARCH〉代表であり、アウトドアからカスタムバイクまで、まさに我が道をいくスタイルを貫く小林節正さんです。

4 12

04. イタリアの靴のデザイン方法に衝撃を受ける。

 高校を卒業した翌週に航空券を買ってイタリアはフィレンツェに渡りました。なぜかというと「このひとを訪ねなさい」といわれていた方がいたから。靴の業界誌を発行していた日本人で、フィレンツェにも住まいがあって。「留守の間、部屋をきれいにキープしておきますので、住ませてください」と交渉して3ヶ月ほどそこで暮らしました。

 その後、ひとづてに「日本人女性が自分の持っている部屋に住みながら手入れをしてくれるひとを探している」と聞いて会いにいったところ、貸してもらえることに。このひとがピアニストで飯倉片町「キャンティ」の川添浩史さんの奥さんでその後スペイン出身のチェリスト、ガスパール・カサドと再婚した原智恵子さん。カサドはすでに亡くなっていましたが、カサドと結婚当初に住んでいた、14世紀に造られた塔の一番上の部屋に住まわせてもらうことになりました。

 靴づくりを身につけるためにインターンをしていた工房で驚いたのは、デザインするときに絵を描かないこと。自分で削った木型にざっくりパーツに分けたガーゼ––––両面に石膏が塗られています––––を張りつけ、それに線を引いてデザインするんです。で、その線どおりにカッターで切り取って型紙に。だから確実だし嘘がないんですよ、絵と違って。平面のデザイン画を立体にするんじゃなく、最初から3次元。うちの父親のやっていたこととは全然違っていて衝撃を受けましたね。

  • 原智恵子を詳しく知るには、大学時代からチェロを学び東大工学部卒の工学博士である寺崎太二郎さんにより、冬花社から出版される『原智恵子を旅する』がおすすめ。「ショパン国際ピアノコンクール」に日本人として初めて出場され、「カサド国際チェロ・コンクール」を開催したりと長年活躍した原智恵子さんの生涯が綴られています。

    原智恵子を詳しく知るには、大学時代からチェロを学び東大工学部卒の工学博士である寺崎太二郎さんにより、冬花社から出版される『原智恵子を旅する』がおすすめ。「ショパン国際ピアノコンクール」に日本人として初めて出場され、「カサド国際チェロ・コンクール」を開催したりと長年活躍した原智恵子さんの生涯が綴られています。

Profile

小林節正(. . . . .RESEARCH〉代表)

1961年1月生まれ、浅草出身。〈. . . . .RESEARCH〉代表。山の〈マウンテン リサーチ〉やカスタムバイクの〈R.E.R〉こと〈ライディングエキップメント・リサーチ〉の展開、さらに2021年にオープンしたキャンプ場「水源の森 キャンプ・ランド」をプロデュースし、不定期で「ANARCHO MOUNTAINEERS」と題したイベントも開催。街も自然も、自由に行き来し自由に楽しむ姿勢は、多くのファンの心を掴んで離しません。

インスタグラム @anarchomountaineers009

RECOMMEND