Text:Kenichi Aono
Edit:Yusuke Suzuki
ファッションでも音楽でもスポーツでも、どんなジャンルもその人にしか出せないスタイルがある。“Style is Everything”。そう、だれかが言った、スタイルがすべて。『スタイルの履歴書』は、文字通りスタイルのある大人へのインタビュー連載。毎週月・水・金曜更新で、記念すべき第10回目は音楽家として幅広い活動をしながら、クルマや時計、それにファッションなどを愛する人としても知られる松任谷正隆さんが登場。6月の計13回に及ぶ言葉と写真などから、松任谷正隆さんのスタイルを教えてもらいましょう。
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05. じわじわと自分を侵食してきたポップス。
中1で最初のバンドをやることになるのですが、そこではピアノでなくギターでした。ぼくにとってクラシックとポップスはまったく別物。野球と相撲くらいの違いがあるんです。ポップスは俗っぽくて、という感覚があったんだと思うんですが、これも親の影響と思います。ポップスのレコードは1枚もなかったしテレビの歌謡番組も観ていなかった。でもぼくはラジオから流れてきて知ったシルヴィ・ヴァルタン『アイドルを探せ』やミーナ『砂にきえた涙』(ともに1964)は大好きで、これがかかるとちゃんと聴いていました。振り返れば小学生のころにテレビでよく観ていたアメリカのホーム・ドラマはポップスとセットだったから、その時点からじわじわと自分を侵食していたんでしょうね。