スタイルの履歴書。岡本博 #4

Text: Kenichi Aono

Edit: Yusuke Suzuki

REGULAR

ファッションでも音楽でもスポーツでも、どんなジャンルもその人にしか出せないスタイルがある。“Style is Everything”。そう、だれかが言った、スタイルがすべて。『スタイルの履歴書』は、文字通りスタイルのある大人へのインタビュー連載。毎週月・水・金曜更新で、第11回目はトイズマッコイの創設者として知られる岡本博さんをゲストに迎えました。7月の全13回、ぜひお付き合いください。

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04. バイクにハマり夜な夜な「マックイーンごっこ」。

 愛知県立旭丘高校に美術科があったのだけど、そこは優秀なひとしか行けなかった。わたしは勉強が嫌いだったものですから、高校受験は付属の大学に美術科がある私立高校を選びました。ここに入ったらそのまま大学で美術を学べる、という実に安直な考えで決めたのですが、行ってみたら不良ばかりのとんでもない学校だったんです(笑)。

 高校はバス通学だったんですが、『大脱走』(1963)でマックイーンが〈トライアンフ〉のバイクでジャンプするのが印象に残っていたのでどうしても映画と同じ「TR6 トロフィー」に乗りたくて、16歳でバイクの免許を取りました。ただ、どうやって手に入れていいかわからないしお金もなかったので、かたちが似ていた〈KAWASAKI〉の「W1」を買って、それで通っていました。途中まではバイク、そこから学校までは歩いて。

 映画のなかでは「TR6」にモトクロス用のタイヤを履かせているんですが、わたしもそのまねをして「W1」につけました。それで名古屋大学前の芝生の広場で夜な夜な「マックイーンごっこ」をして遊んでいましたね。芝生の上だと映画みたいにすべるんですよ。それが気持ちよくてよくやっていました。いま考えると捕まらなくてよかったなと思います(笑)。マックイーンの影響でバイクが好きになり、河原でモトクロッサーに乗ったり、ツーリングに行ったりしていた高校時代で、ほかの遊びはあまりしなかったですね。

  • スティーブ・マックーンがプライベートで乗っていた〈トライアンフ(TRIUMPH)〉の1961年式TR-6を、東京の江戸川区に構える「トライド モーターサイクル(TRIDE MOTORCYCLE)」で忠実に再現。タンクは1952~53年ごろの〈トライアンフ〉のT100RRの純正、〈ベイツ(BATES)〉のシート、1954年後期~1958年前期まで製造された片ハブ、エアスクープ付のフロントドラムブレーキ、エキゾーストはバド・イーキンスによるバドパイプ、そしてエンジン内部にはジョンソン・モータース(Johnson Motors)製のレーシングカムがインストールされるなど、マニアにとって究極のスクランブラーです。

    スティーブ・マックーンがプライベートで乗っていた〈トライアンフ(TRIUMPH)〉の1961年式TR-6を、東京の江戸川区に構える「トライド モーターサイクル(TRIDE MOTORCYCLE)」で忠実に再現。タンクは1952~53年ごろの〈トライアンフ〉のT100RRの純正、〈ベイツ(BATES)〉のシート、1954年後期~1958年前期まで製造された片ハブ、エアスクープ付のフロントドラムブレーキ、エキゾーストはバド・イーキンスによるバドパイプ、そしてエンジン内部にはジョンソン・モータース(Johnson Motors)製のレーシングカムがインストールされるなど、マニアにとって究極のスクランブラーです。

Profile

岡本博(トイズマッコイ 会長)

1953年、愛知県名古屋市生まれ。イラストレーターとしてキャリアをスタートし、1996年にミリタリーやモーターサイクルをベースとしたアパレルブランドの〈トイズマッコイ(TOYS McCOY)〉を設立。生粋のスティーブ・マックイーン好き&モーターサイクル乗りとしても知られ、〈ハーレー ダヴィッドソン(HARLEY DAVIDSON)〉や〈トライアンフ(TRIUMPH)〉のヴィンテージバイクでレース参戦も。現在は〈トイズマッコイ〉」の会長として、ものづくりと向き合う日々を送っています。

ホームページ http://www.toys-mccoy.com

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