ぼくの好きな店。 Vol.5 鈴木 親「太郎屋」

ぼくの好きな店。 Vol.5 鈴木 親「太郎屋」 ぼくの好きな店。 Vol.5 鈴木 親「太郎屋」

Text: Daiki Yamazaki

Edit: Daiki Yamazaki

FOODぼくの好きな店

だれにだってお気に入りの店がある。レストラン・食堂・喫茶店・カフェ・バー…。知り合いだから・おいしいから・居心地がいいから…。ジャンルもその理由もひとそれぞれ。ひとつ言えるとしたら、そんなお店があればそれは豊かな人生に違いない。だから、あの人にお気に入りのお店を教えてもらいたい。第4回目は、写真家・鈴木親さんのお気に入りのお店「太郎屋さん」と京都のポテトサラダの話を伺いました。

一手間かけた至高のポテトサラダ。

数年前から撮影や展示で京都に訪れる機会が増えました。京都に行った際によく仕事をしている制作会社の友人がいるのですが、彼におすすめの居酒屋を聞いた時に教えてもらったのが「太郎屋」さんというお店です。「太郎屋」さんは、烏丸(からすま)という東京で言う丸の内のようなオフィス街のエリアから一本路地に入った飲み屋街にあります。観光客が行くような場所ではなく、地元の人達が仕事終わりに行くような場所なんだと思います。

「太郎屋」さんで必ず食べるのはポテトサラダです。一見普通のポテトサラダなんですが、とにかく美味しい。何が違うのかと聞かれると表現が難しいのですが、時間をかけて作られているなとわかる味なんです。調べたところ、玉ねぎを飴色になるまで炒めてコクを出したものをマヨネーズと和えているみたいです。遅い時間に行くと売り切れていたりするので、お店でも人気のメニューのようです。

ジャガイモ、玉ねぎ、人参、ハムのシンプルな具材だけど、他では食べられない奥行きのある味わいです。

京都の美味しい居酒屋さんの共通点は、どのお店でも美味しいポテトサラダが食べられるということ。東京で食べるポテトサラダは、大体がいわゆるマヨネーズ味だと思うのですが、京都はそうじゃありません。ただ美味しいだけでなく、あるお店ではさきいかが入っていたりしました。とにかく東京では味わえないようなタイプの一癖あるポテトサラダが京都では楽しめるんです。だから初めて行く居酒屋では、ポテトサラダを食べる事を楽しみの一つにしています。今までたくさん京都のポテトサラダを食べてきましたが、僕の中のベストは「太郎屋」さんのポテトサラダですね。

「太郎屋」さんはチャーハンもおすすめです。チャーハンなのにさっぱり食べれるので、〆に食べています。

店内の雰囲気も「太郎屋」さんの魅力の一つです。おばんざい形式で料理が並べられているので、いわゆる割烹料亭のようなかしこまった感じが一切なく、リラックスした雰囲気で美味しい料理とお酒を楽しめます。会食できている様な人もいませんし、ほとんどが地元の方々だと思います。丁寧に作られた美味しい料理を地元の人に混ざりながら楽しめるお店が、僕の好きなお店の条件ですね。

太郎屋

住所:京都府京都市中京区新町通四条上る 東入観音堂町473

TEL:075-213-3987

営業時間:17:00〜23:00

定休日:日曜

Instagram:@taroya1992

Profile

鈴木 親(写真家)

1972年生まれ。1998年渡仏。雑誌Purpleにて写真家としてのキャリアをスタート。KOSAKU
KANECHIKA gallery所属。国内外の雑誌から、ISSEY MIYAKE、GUCCI、CHANEL、JOHN LOBBのコマーシャルなどを手がける。主なグループ展をCOLETTE(1998年、パリ)、MOCA(2001年、ロサンゼルス)、HENRY ART GALLERY(2001年、ワシントン)で開催。主な個展 TREESARESOSPECIAL(2005年、東京)、G/P GALLERY(2009年、東京、Kosaku Kanechika(2018年、2019年、2020年、東京)。代表的な作品集に『shapes
of blooming』(2005年、TREESARESOSPECIAL)、『Driving with Rinko Kikuchi』(2008年、THE INTERNATIONAL)、『CITE』(2009年、G/P GALLERY、TREESARESOSPECIAL)、『SAKURA!』(2014年、LITTLE
MORE)

Instagram:@chikashisuzuki1972