Good Watch, Good Style - 時計と服のいいカンケイ。Vol.03 ROLEX Oyster Perpetual GMT-Master II
90年代半ば、深夜のテレビ番組のある企画が注目を集めた。それは無名のお笑いコンビが10万円を元手にユーラシア大陸をヒッチハイクで横断するというもの。彼らの旅は香港からはじまり、野宿、スリ被害、そして旅費を稼ぐためのアルバイト…異国で次々起こる予想だにしない事態に視聴者はテレビに釘付けだった。道中のさまざまな苦難を乗り越え、ゴール地点のロンドンにたどり着いたとき、二人は国民的ヒーローになった。
これで大団円といきたいところだったが、飛行機で移動していたことが後日発覚。マスコミが煽って大騒動になるほど、この出来事に世間の関心は高かった。
テレビの企画は極端な例だが、旅では大なり小なり思わぬことが起きる。
とあるヘアメイクの知り合いは、仕事でアメリカに行くため、羽田空港のチェックインカウンターに向かうも搭乗拒否をくらう羽目に。彼女はこの何日か前にパスポートを更新したのだが、残存期間に関わらず「エスタ」を登録し直す必要があったのだ。その場で急いで「エスタ」をオンライン申請するもやはり搭乗時間に間に合わず、エアチケットを取り直したという。申請が通ったのは、もともと乗る予定の飛行機が離陸した直後だった。
そんな思い出話もあるが、ひとは知らない土地に行き、見聞を広めることで成長する。
筆者は30代に入ってから憧れの地だったアメリカにはじめて行ったが、サンフランシスコからヨセミテに向かう道中のことがいまでも忘れられない。ひと、クルマ、木…、目に入るものすべてが大きく、夕暮れのロードサイドに広がる光景はウィリアム・エグルストンやスティーブン・ショアの写真集で見たランドスケープそのものだった。
「Googleマップ」のストリートビューや旅系YouTuberの映像でも行った気にはなれるが、所詮リアルには敵わない。
〈ビズビム〉ジーンズ ¥117,700(ビズビム)、その他 編集部私物
〈ナイキ〉スニーカー「フィールド ジェネラル 82 SP」 ¥13,530(A+S)
限られた人生の時間を有効活用するなら腕時計の使用は必須だろう。なかでもトラベラーの憧れは〈ロレックス(ROLEX)〉の「GMTマスター」だ。これは1955年、旅客機のパイロットのためにつくられたモデルで、のちに “パンナム” の愛称で知られる「パンアメリカン航空」のオフィシャルウォッチにもなった。異なるローカルタイムを表示するため、2時間刻みで24時間分の目盛りの入ったベゼルと、4つ目の針である24時間針を設けた。
この時計のシリーズはベゼルの色使いも特徴のひとつ。上半分がナイトタイム、下半分がデイタイムを示すカラーコンビで、ファンの間では赤青の組み合わせが “ペプシ” などといわれ親しまれている。
そして、「GMTマスター」を進化させたのが、82年登場の「GMTマスター II」だ。時針が単独操作できるようになり、24時間針とベゼルの時間を組み合わせれば、3つ目のローカルタイムも表示できるようになった。
この記事で選んだのは、今年デビューしたその新作。セラミック製のベゼルの色がクールな一本で、刻印された目盛りと数字はプラチナでコーティングしてあるから腐蝕しにくい。質実剛健なオイスターケースで守られた自動巻ムーブメントは、自社製造のキャリバー 3285。−2秒から+2秒以内の日差に調整されている高精度クロノメーターで、強い磁場にも耐性があるというからよくできている。
いまならこれをジーンズにスニーカーくらいのラフな格好に合わせたい。
そういえば、一世を風靡したお笑いコンビのひとりは、その後の苦節を経て、いまや国民的タレントとして活躍中だ。不確実な時代をサバイブするひとにこそ、この時計はよく似合う。
ケース : オイスタースチール(ステンレススチール)、40mm
厚さ : 11.9mm
パワーリザーブ:約70時間
価格 : ¥1,540,000
電話:0120-929-570
オフィシャルサイト
電話:03-5468-5424
オフィシャルサイト
電話:03-5414-1320
オフィシャルサイト