スタイルの履歴書。島津由行 #6

Text: Kenichi Aono

Edit: Yusuke Suzuki

REGULAR

ファッションでも音楽でもスポーツでも、どんなジャンルもその人にしか出せないスタイルがある。“Style is Everything”。そう、だれかが言った、スタイルがすべて。『スタイルの履歴書』は、文字通りスタイルのある大人へのインタビュー連載。毎週月・水・金曜更新で、第12回目はスタイリスト・クリエイティブディレクターとして活躍する島津由行さんの半生を辿ります。

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06. 有田正博さんと「アワーハウス」のこと。

 有田さんを知ったのは『メンズクラブ』の誌面。有田さんは九州学院高校出身で、卒業後に九学で結成された「アイビー・スピリット・ファンクラブ」という団体の取りまとめ役をやられていました。そんな有田さんを『メンズクラブ』が4、5ページ使って取り上げていたんです。ぼくは九州学院の連中と付き合いがあったのもあり、有田さんを「すげー」と一方的に認識していました。スカイブルーとイエローのチルデン・セーターに白いフレア・パンツ、本を小脇に抱えて、絵に描いたようなアイビー青年でしたね。

 その有田さんが東濱さんという方がやっていた店「アワーハウス」で働きはじめ、ぼくは家が近所だったのでここに通うようになります。〈Ocean Pacific〉とか〈Ediie Bauer〉、〈Keds〉や〈Converse〉なんかが置いてあったかな。BGMはイーグルスとかドゥービー・ブラザーズ。ぼくもこのころはラグビー・シャツに〈LEVI’S〉の517とか646みたいな西海岸っぽい格好でした。東濱さんには「パチンコやってくるから店番しといて」なんて可愛がってもらいましたね。

 有田さんのアメリカ行きを聞いて、連れていってもらうことになるのですが、有田さんからは「親と学校にはちゃんというんだぞ」と。前に話したようにそのころは学校をほとんど辞めていたような状態だったんですがそれは黙っていて、最近になってようやく有田さんにそのことを告白したんです(笑)。

  • 「アワーハウス」の前でおそらく古着のボーリングシャツを着て。

    「アワーハウス」の前でおそらく古着のボーリングシャツを着て。

  • 熊本日々新聞に掲載されたスナップ写真。有田さんと東山さん(アワーハウス社長)に誘ってもらったが、島津さんはスケボーはほとんどできなかったそう。

    熊本日々新聞に掲載されたスナップ写真。有田さんと東山さん(アワーハウス社長)に誘ってもらったが、島津さんはスケボーはほとんどできなかったそう。

  • 「アワーハウス」で購入した〈ベンデイヴィス〉のヒッコリーシャツを着たスナップ写真。

    「アワーハウス」で購入した〈ベンデイヴィス〉のヒッコリーシャツを着たスナップ写真。

Profile

島津由行(スタイリスト・クリエイティブディレクター)

1959年、熊本県出身の九州男児。1981年にパリへ渡り、スタイリストとして活動をスタート。雑誌、広告、ミュージシャン、ショーなど、さまざまなフィールドを自由自在に行き来しながら、現在はギターメーカー〈フェンダー(Fender)〉によるアパレルブランド〈F is For Fender〉のクリエイティブディレクターの顔も。

インスタグラム @shimazuyoshiyuki

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