ファッションでも音楽でもスポーツでも、どんなジャンルもその人にしか出せないスタイルがある。“Style is Everything”。そう、だれかが言った、スタイルがすべて。『スタイルの履歴書』は、文字通りスタイルのある大人へのインタビュー連載。毎週月・水・金曜更新で、第12回目はスタイリスト・クリエイティブディレクターとして活躍する島津由行さんの半生を辿ります。
05. 「行ってみないとわからない」と決めた初渡米。
初渡米は高校1年のとき、1974年です。少しさかのぼると、中学のときには『メンズクラブ』なんかを読みはじめていて、いわゆるアイビー少年でした。〈VAN〉全盛期の終わりのあたりですね。ただ、ビートルズやなんかのフィルム・コンサートとか、フォーク・クルセダーズだった加藤和彦さん(故人)がユニオン・ジャックのジャケットとかチョークストライプのスーツを着ているのを雑誌で見て、ロンドンっぽい服への憧れもありました。兄貴はバンドをやっていたからそのころはヨーロピアン風な格好で、ぼくが自分のバンドで演奏するときにはそれを借りてやってましたね。だからアメリカはリアルな日常の服、イギリスは音楽を感じる非日常の服という感じで両方に興味は持っていたんです。ただロンドンブーツだけは苦手でした(笑)。
熊本のひとの特徴として「行ってみないとわからない、よし行こう」というのがあるんです。アメリカへの興味は服のほか、映画や「ウッドストック」やサンフランシスコに代表されるカルチャーへの関心もあったので、実際に見にいってみたくなった。それでアルバイトをしたお金を元手に初渡米となるわけですが、これを実現するのにとてもお世話になったのが有田正博さん。有田さんはそのころ「アワーハウス」という古着と西海岸的な新品の服を品揃えしていた店で働かれていて、そこにいりびたっていたんです。それで有田さんがアメリカに行くというんで「ぼくも連れていってください」と志願しました。
Profile
島津由行(スタイリスト・クリエイティブディレクター)
1959年、熊本県出身の九州男児。1981年にパリへ渡り、スタイリストとして活動をスタート。雑誌、広告、ミュージシャン、ショーなど、さまざまなフィールドを自由自在に行き来しながら、現在はギターメーカー〈フェンダー(Fender)〉によるアパレルブランド〈F is For Fender〉のクリエイティブディレクターの顔も。
インスタグラム @shimazuyoshiyuki