HANG OUT VOL.2

THERE ARE NO BAD GUYS.

Chapter 05

2024.10.10

Text:Yuri Sudo

Edit:Yuri Sudo

Illustrator:Natsuko Yoneyama

HANG OUT VOL.2

HANG OUT VOL.2THERE ARE NO BAD GUYS.

どうしようもない男と、その映画。

映画の主人公にはどうしようもない奴が多い。何かに溺れたり振り回されたり、ただ、そのさまは人間らしくておもしろい。現実で関わるのは到底御免だけど、きっと映画で観るからちょうどいいのだ。というわけでクズだけど憎めない男たちを5人、紹介します。

Chapter 05 | THERE ARE NO BAD GUYS.

NO.1
ベン・サンダーソン
『リービング・ラスベガス』より

酒狂度:★★★★★
打狂度:★
女狂度:★★★

酒瓶を傾け、不器用に口説く。

映画の現場には、技術パートとして「撮影部」「照明部」「録音部」がある。それぞれの頭文字をとって通称「撮照録」と呼ばれているのだが、実は今号のテーマと深く関係していて、「撮・照・録」の順番に「吞む・打つ・買う」に興じていたのだそう。つまり撮影部は酒を浴びるように呑み、照明部はギャンブルに明け暮れ、録音部は女性にうつつを抜かしていた。専門的な職業ゆえの特徴なのか、代々つづく伝統なのかは不明だが、映画と道楽の結びつきを感じる話である。

さて本題。本作『リービング・ラスベガス』はまずはじまりが素晴らしい。主人公のベンがスーパーで小躍りをしながら酒瓶をカートに入れていくシーンは、この男の人間性のすべてを表している。すでにお分かりの通り、これはアル中の物語。酒が原因で職を失い、妻子にも逃げられる、文字通り人生が転落していく話だ。しかしここがアル中の発想。どうしようもない人生なら、死ぬまで酒を呑みつづけようと意を決し、ラスベガスに向かうのである。

この記事は月額メンバーシップ限定記事です

続きを読むには

料金プラン
月額 ¥880 (税込)