HANG OUT VOL.2
TABIUCHI in AICHI part.2
Chapter 07
Photo:Yuco Nakamura(C STUDIO)
Text:Akiko Maeda
Edit:Naoya Tsuneshige
HANG OUT VOL.2TABIUCHI in AICHI part.2
愛知で旅打ち。-後編-
旅打ちとはすなわち「ギャンブルを楽しむことを目的にわざわざ旅に出ること」である。単なる道楽というなかれ、それは大人のロマンなのだ。さて、「愛知で旅打ち」後編ではギャンブル帰りに立ち寄りたい地元に根付いたナイスな酒場と、新規層獲得に向けて進化を続けるボートレース蒲郡の様子を紹介していく。そして旅の最後に思い出とともに持ち帰りたい“旅打ち土産”もあわせて紹介するのでお見逃しなきよう。
呑む
後編では、ワイワイ楽しめる中華酒場や老舗焼き鳥店、タップルームまで、ギャンブル帰りの祝い酒にもやけ酒にもぴったりのナイスな酒場にご案内!
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ネオ中華らしいスタイリッシュな空間も魅力のひとつ。店内には若い女性客やカップルの姿が目立つ。
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入口に掲げられた提灯と暖簾を目印に店に向かおう。中を覗くだけでその活気ある雰囲気が伝わってくるようだ。
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“大衆飯酒場”と銘打っている通り、酒によく合う中華風の小皿メニューが充実。華やかな盛り付けが食欲をそそる。
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店長の小林さんをはじめ、スタッフは20代の若手が中心。つねに活気があり、賑やかな雰囲気が心地いい。
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やわらかな食感の台湾スイーツ・豆花は「ワイロ」の人気メニュー。〆にぴったりのやさしい味わい。
どうぞご贔屓に!
ゴキゲンムードのネオ大衆酒場。
第一印象は愛嬌たっぷりの洒落系酒場。カウンタースタイルの店内は高感度の女性客を中心に賑わい、スタッフの接客も明るい雰囲気でギャンブル帰りにワイワイ楽しみたいときにはぴったりの店だ。三大名物は萬幻豚の粗挽き焼売、毛沢東スペアリブ、肉汁水餃子。ダージーパイ(台湾唐揚げ)やルーローバオ(中華まん)など台湾メニューも揃う。日本人の舌に合うようにアレンジされているが、発酵調味料やスパイスがしっかりと効いた深みのある味わいが特徴だ。店内にあるセルフサービスのショーケース内のメニューもユニークで、中国や台湾のクラフトビールや盛田の金しゃちカップ、赤星の瓶ビールもある。オーダーメニューの珈琲焼酎や国産クラフトジンを選ぶのも粋だ。そして、「ワイロ」自慢の台湾スイーツ・豆花(トーファ)とパンダ杏仁豆腐で〆る。旅打ち特集で“ワイロ”だなんて少し意味深だが、そこに忖度は一切ない。この唯一無二な魅力の虜になってしまった。
<info.>
大衆飯酒場 ワイロ
- 住所:愛知県名古屋市中区栄5-5-33 オオタビル 1F
- 電話番号:052-261-4305
- 定休日:不定休
- 営業時間:月〜木 17:00〜23:30、金 17:00〜25:00、土・祝前日 15:00〜25:00、日・祝 15:00〜23:00
- Instagram:@__wairo
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コロラド出身の店主・ジェイミー氏はクラフトビール愛にあふれた人物。軽快なトークとともに杯を酌み交わそう。
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カルチャー感あふれる店内。Tシャツやステッカー、ボトルオープナーなどオリジナルグッズも販売している。
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USA産を中心としたペールエール缶が豊富に揃う。店内で角打ちもできるし、テイクアウトももちろんOK。
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奥行きのある店内のショーケースいっぱいに世界各国のクラフトビールやサワーIPA、バーレイワインが並ぶ。
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ホップを象ったロゴマークがクール。外に置かれたキッチンカーの奥を進み扉を開くと角打ちスペースが広がる。
ワイワイ飲んで騒いで。
これぞ、大人の遊び場。
ここは全クラフトビール好きのたまり場。アメリカンクラフトビール缶を中心に300種類超のビールをリーズナブルな価格で提供している。「8 Bit Brewing」や「Wren House Brewing」など日本初上陸のIPAもあるので、その日の気分に合わせて好きな銘柄を楽しもう。そして、店外スペースにはメニューが定期的に変わるキッチンカーも。タコスやフィリーチーズステーキ、アメリカンBBQなどが味わえる。常連客も一見さんも関係なく英語で他愛ない会話を楽しみ、その日に初めて出会った見知らぬひとたちと乾杯! オーナー、ジェイミーさんとクラフトビールを愛しその感動を伝えることが大好きな相棒・香代子さんが、ここ笠寺の地にハッピー・グルーブを生み出す。後ほど紹介するタップルーム「Tall Boys Brewing」はここから徒歩圏内なので、クラフトビール好きはハシゴするのもおすすめだ。
<info.>
Hopbuds(ホップバズ)
- 住所:愛知県名古屋市南区前浜通6-32-3
- 定休日:月・火・水・木休
- 営業時間:17:00〜23:00
- Instagram:@hopbudsnagoya
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食材や部位によってタレと塩の味付けを分けている。タレは創業時から変わらず継ぎ足された秘伝の味だ。
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常連客に混じって、この店の焼き鳥の味に惚れ込んだ若者の姿も。最近はインバウンドの外国人客も増えているという。
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カウンターでは接客担当の女将が忙しなく働く。「舌代」と記された年代物のメニュー表もなんともいい雰囲気。
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焼き場は大須交差点に面していて、そのタレの香ばしい香りが道行く人の足を止める。
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ギャンブル帰りに“ちょっと一杯”やっていきたくなる味のある店構え。店の前には毎日開店前から列ができる。
コの字カウンターで
伝統の味とおもてなしを堪能。
今年で創業75年、大須交差点の“角”に位置するやきとり店、その名も「角屋」。開店前からできる行列とその香ばしい匂いを頼りに店に向かい、行列の後ろにつける。暖簾の脇に掛かった舌代(メニュー)を見ながら、なにを食べようかと考える時間も楽しい。40分ほど待って入店すると、そこに広がるのは昭和ロマンあふれるコの字カウンター。メニューは、とん、きも、砂ぎも、とり玉(つくね)、心臓、そして手羽先。肉串以外にも玉子(うずら)、ピーマンと箸休めのきゅうりもある。なかでも大ぶりで弾力のある砂ぎもは、他とは一線を画す味わい。プリップリの肉と甘辛いタレが博打で疲れた頭と身体に染み渡る。手羽先以外は1本130円、10本食べても1300円と“準備運動”にはもってこいの店だ。天井からぶら下がる拡声器はおかあさんの秘密兵器。「トン2、スナ2!」と絶えず店内に響くおかあさんの元気な声も心地よくて、ついつい長居してしまった。
<info.>
やきとり角屋(かどや)
- 住所:愛知県名古屋市中区大須2-32-15
- 電話番号:052-221-9774
- 定休日:月曜
- 営業時間:火〜金 16:30〜21:00、土・日・祝 16:00〜21:00
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モーニング発祥の地・愛知でも珍しいモーニング付き瓶ビール。トーストとビールは意外にもよく合う。
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今年で40周年を迎える「マド」の店内。“THE 昭和の喫茶店”の佇まいがグッとくる。
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店の外にはこれまた懐かしい置き看板が。いまや希少な存在となってしまった、昔ながらの喫茶店の証だ。
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卓上の麻雀ゲームはいまも現役。開店当時からの常連のお父さんは、バナナジュースをお供にゲームに勤しむ。
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マスターがていねいに淹れてくれる珈琲は渋めの味が実にいい。小菓子をちびちびとつまみながら味わおう。
“朝からビール”の夢がいつでも叶う。
呑兵衛にもやさしい喫茶店。
名古屋独自の食文化とも言える「モーニング」といえば、いまや全国的に根付いた、コーヒーを注文するとトーストやゆで卵などが無料でついてくるサービスのこと。そしてセットメニューではなくあくまでサービスだというのがすごい。これはまさに名古屋人の“足し算の美学”なのだ。さて、ここ「喫茶・軽食 マド」で楽しめるのは、瓶ビールにトーストとゆで卵が付く亜流のモーニング。毎日朝5時半から11時限定のサービスだから、ちょっと早起きしてボートレースに行く前に瓶ビールでエンジンをかけるのも乙だろう。店内いっぱいに漂う昭和のムードを感じながら、麻雀ゲームに勤しむ常連客の姿をつまみにちびちびやる。あぁこれぞ大人の休日。毎日楽しいことばかりじゃないけど、こういう時間があるから明日もまたがんばろうっていう気持ちになれるんだ。大人っていいな。ちなみにビールにトーストって合うのかなと一瞬ハテナが浮かぶけど、かなりイケるので旅打ちの際にはぜひ立ち寄ってみてほしい。
<info.>
喫茶軽食 マド
- 住所:愛知県名古屋市千種区高見2-10-11
- 電話番号:052-763-7484
- 定休日:無休
- 営業時間:5:30〜18:00
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注ぎ手のコリン氏はホームブルワーの父を手伝って、12歳の頃からビール造りに親しんできた筋金入りの醸造家。
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左から「SMALL」「REGULAR」「JUMBO」サイズ。タップから注ぎたてのビールは喉越しの良さが段違い。
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手前からドライトマト、ビール、ガーリックを練り込んだソーセージの盛り合わせ。ビールと合わないわけがない。
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タップルームに併設された醸造所で自慢のビールが仕込まれる。缶ビールの製造・販売も手がけている。
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笠寺駅近くの住宅街の一角の小さな路地を入った「TBB(Tall Boys Brewing)」のネオンが店の目印。
“よく呑み、よく打つ”が我らの信条。
澄んだビールを何杯でもどうぞ!
「Tall Boys Brewing」ここは名古屋のメインエリアから少し離れた住宅街にある醸造所兼タップルーム。店名は創業に関わったメンバー3人が揃って背が高かったことと、アメリカやカナダでLサイズ缶のスラングが「Tall Can」であることに由来する。まずは定番的人気の「ヘイジーIPA」をいただいてみると、これまでのビールの概念を変えるほど澄んだ味わい。このなめらかな喉越しは「クラフトビールの醸造でいちばん大変なのは掃除だよ(笑)」と語る醸造家コリン氏のていねいな仕事の賜物だろう。不衛生なタップや汚れたグラスではその感動体験が台なしになってしまうのだという。また、さらに驚いたのは温度が上がってきても味が落ちないこと。一般的なビールはぬるくなると飲み進めるのが辛くなることが多いけれど、「TBB」のビールは温度変化とともに甘みが増し、ひと口目とはまたちがった味わいを楽しめる。カウンターで飲んでいる我々に向かって、「drink well!」とコリン氏が声をかけてくる。このあたたかな空間で絶えずおかわりをしながら、あっという間に名古屋での夜が更けていく。
<info.>
Tall Boys Brewing(トールボーイズ ブルーイング)
- 住所:愛知県名古屋市南区松池町2-28-1
- 電話番号:052-887-3491
- 定休日:月休
- 営業時間:火〜木 18:00〜22:00、金〜日 15:00〜23:00
- Instagram:@tallboysbrewing
打つ
公営ギャンブルの代表格といえば、競馬・競輪・ボートレース。今回はボートレース蒲郡にスポットを当て、ギャンブラーが最後に辿り着くと言われる、そのコアな魅力に迫る。
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扉の向こうに屋外スタンド席と競走水面が広がる、1階投票所前の一般席。館内は冷暖房完備で快適に過ごせる。
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場内にはボートレース場公認の予想屋が所属している。慣れるまでは予想屋の読みをヒントに賭けてみるのもいい。
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快適に観戦したいならタッチパネル付きモニターで在席投票ができる有料指定席「ロイヤルシート」がおすすめ。
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週末は1000人もの観客であふれる「ボートレース蒲郡」。レースの合間に広々としたフードコートで腹ごしらえを。
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蒲郡漁港食堂の蒲郡海鮮かき揚げ丼は必食。海産物を贅沢に使った丼物がワンコインでいただける。
ダイナミックなレースとあふれる歓声。
その臨場感を一度は体験してほしい。
“ギャンブラーの最終地点”と言われるボートレースは、男女が同じ条件で競う競技でコロナ禍を契機に“ボレジョ”と呼ばれる女性ファンや若いユーザーなどその人口は年々増え続けているのだそうだ。選手の年齢層が幅広いのも特徴で、15歳から70歳代の選手までが活躍している。つまり戦略とテクニック次第で性別・年齢関係なく勝ちの機会が与えられているということだ。
さて、今年4月に一新したばかりのガラス張りの建物の外で開場待ちの列に並び中に入ると、みな早足で自らの陣地の確保に向かう。狙い目は水面により近い位置で白熱したレースを楽しめる「スプラッシュゾーン」。競艇の勝敗はスタート後の1周目第1ターンマークでの攻防で決まるというから、その瞬間を間近で見られるこの席は特等席。ボートのスピード感と迫力あるエンジン音、観客が一体となった歓声は、現場ならではの圧倒的な臨場感。その醍醐味をぜひ一度は体感してほしい。
<info.>
ボートレース蒲郡
- 住所:愛知県蒲郡市竹谷町太田新田1-1
- 電話番号:0533-67-6606
- 営業時間:10:00もしくは14:15〜(開催日)
- 公式サイト
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週末には地元産野菜の販売会やヒーローショーを開催。イベントを目当てに訪れるひとも多いのだとか。
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間近で臨場感を感じられるスタンド席は開放感抜群。皆、真剣な表情でレースの行方を見守る。
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6艇のボートが激しいエンジン音を鳴らし、水飛沫をあげて水上を跳ぶように走る。その迫力は現場ならでは。
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ボートレースの醍醐味ともいえる1周目の第一ターンマークの攻防。ここで大勢が決まることが多い。
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「駅前ボートだ」の謳い文句どおり、三河塩津駅から徒歩数分の立地がウリ。三河湾に面した開放的な空間。
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今年5月にオープンした「BOAT KIDS PARK」は、砂場や遊具や水場などを備えた、子ども向けのプレイスポット。
買う
旅の締めくくりにはバッグいっぱいの思い出を持ち帰ろう。競技場のオリジナルグッズ、手軽に楽しめる“なごやめし”のスナックフードや新ジャンルの炭酸飲料など、いろいろ揃ってます。
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ダノンデサイルのキーホルダー
歴史的番狂せを起こした名馬「ダノンデサイル」のキーホルダー。コイツをバッグにつけてもうひと勝負だ!
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手羽先のキーホルダー
“なごやめし”のトップは自分だと言わんばかりに、見事なまでのテカりを放つ手羽先キーホルダー。割とデカい。
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名古屋のミニ提灯
こういうストレートな土産がいちばんうれしかったりするもんだ。とっても小さいし、灯りも点かないけどね。
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金鯱カップ
ただかわいいだけじゃない。金しゃち酒造がつくる本格派の日本酒。冷酒、熱燗、出汁割りだって最高だろう。
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名古屋駅名標のミント
駅名標。もちろん現物は持ち帰れないのでミントで我慢だ。こういうのってついつい買っちゃうんだよなー。
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うなぎコーラと味噌コーラ
お土産の定番(?)の変わり種ドリンク。美味しさは求めるな! インパクト重視だ! でも意外とハマるかもよ。
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名古屋みそカツ 12袋入り
“あの”ビッグカツの名古屋版。八丁味噌を使用したタレが付いたカツフライはやみつきになる美味しさ。
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ソーラー馬の福助
ソーラーパネルに光が当たると、お辞儀をするように頭がゆらゆら動く。きっと縁起いい。間違いない。
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金しゃちビール 各種
金しゃちビールの定番ラインナップ「IPA」「プラチナエール」「アルト」。これは嬉しい土産だ。
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中京競馬場のマフラータオル
陽射しの強い競馬場では必須のアイテムかもしれない。デザインも凝っているし、お土産にもぴったりだ。