家のなかでしっぽりやる酒もいいけれど、酒場で呑む酒はとにかくうまい。そして、知らない土地で呑む酒はもっと最高だ。うまい酒と肴を愛する同志たちが同じ店に集い、盃を交わし、顔を合わせて語り合う。普段は遠慮したい、見知らぬひとの身の上話や自慢話、自虐ネタも酒を呑んでいるときだけは大歓迎だし、それが旅先ならなおさらだ。呑みはじめたら最後、明るくなるまで呑んで食って、最終的にはへべれけに。翌日に残るのは楽しかったというぼんやりとした記憶と二日酔いだけ。
そんなうまい酒場を探して行き着いた先が愛知だ。愛知というと東京から新幹線で約1時間半というアクセスの良さに加え、どて煮に味噌カツ、ひつまぶし、手羽先など、酒と相性抜群の “なごやめし”で有名なグルメの街。地元のひとびとと肩を並べて呑んで、2軒3軒とハシゴするのが旅打ちの一番の醍醐味だろう。愛知は東京、福岡に次いで多い6つの公営競技場があり、パチンコ発祥の地としても知られているいわばギャンブラーの聖地。旅打ちするにはぴったりの場所というわけだ。
さて、まずは前編。今回は公営競技である三競オートのなかから、名古屋競輪場、中京競馬場と4軒の飲食店を紹介していく。