いまから15年前の2008年。当時、ハイキングなんて言葉は一般的ではなかったし、ましてやロングトレイルを歩く人なんて、ひと握りもひと握り。ウルトラライト(以下、UL)の道具も、保守的な山好きたちにとっては批判の対象だった。ULハイキングの専門店「ハイカーズデポ」が誕生したのは、逆風しか吹いていなかったそんな年。オーナーの土屋さんは言う。
「その頃のネット掲示板には、ぼくやお店の批判スレッドがいっぱいあったんです。『こんなペラペラな道具で山に行けるか!』ってね。元々、別のお店でバイヤーをやっていて、そこから独立したんですけど、それまでお付き合いのあったメーカーさんも取り扱わせてくれなかったりしたんですよ」
HANG OUT VOL.1
LONG TRAIL
Chapter 07
HANG OUT VOL.1LONG TRAIL
ロングトレイル初心者が、まず頼るべきお店4選。
VOL.1 ハイカーズデポ(東京・三鷹)
キャンプとも違う。登山ともまた違う。山道や里山を長い時間かけて歩くロングトレイル・ハイキングに持っていく道具は「ウルトラライト(超軽量)」であることがなにより大切。身軽になることで疲労はたまりにくくなり、それが長い距離を歩くことに繋がっていくというわけ。けれど初心者にとっては、なにが正解で、なにが間違いかなんてわからない。だったら、なんでも相談できるスタッフがいて、道具の品揃えも豊富な、こんな店に行こう!1店舗目は「ハイカーズデポ」です。
ロングトレイル界の
第一人者がいるお店。
潮目が変わったのは2011年。舟田靖章さんが、日本人ではじめてトリプルクラウナー(※)になったのだ。そこからロングトレイルやウルトラライトの思想がメディアでも取り上げられるようになり、広がりをみせていく。
※アメリカ3大トレイル である アパラチアン・トレイル、パシフィック・クレスト・トレイル、コンチネンタル・ディバイド・トレイルをスルーハイクしたハイカーのこと。
「舟田くんが出てくるまでは、何ヶ月もかけて何千キロを歩くっていうのが想像できなかったと思うんです。でも日本人が踏破したことで風向きは変わりましたよね。舟田くんもうちの店によく通ってくれていましたから、お店の取材も増えて、お客さんも徐々に増えていったように感じます」
「ハイカーズデポ」ではこのひとに聞け!
土屋智哉さん
1971年生まれ、東京・練馬出身。大学時に探検部へ入部し、そこからアウトドアの世界に魅了される。2008年にジョン・ミューア・トレイルをスルーハイクしたのち、同年「ハイカーズデポ」をオープン。これまで国内外のロングトレイルを踏破し、その知識は国内屈指。聞いた質問にはなんでも答えてくれるロングハイク界の兄貴的存在。 著書に 『ウルトラライトハイキング』(山と渓谷社)がある。
INFORMATION
ハイカーズデポ
住所:東京都三鷹市下連雀4丁目15−33 日生三鷹マンション2F|地図
TEL:0422-70-3190
時間:12:00〜20:00
定休日:火曜日
Instagram:@hikersdepot