あらたな相棒と出会い、暮らす。 あらたな相棒と出会い、暮らす。

HANG OUT VOL.5 Live with Animal

あらたな相棒と出会い、暮らす。

人生には思いがけない出会いがあり、それが大きな転機となる。動物との出会いもそのひとつ。迎え入れる理由はそれぞれだが、癒やされたり、元気をもらったり、時には笑わせてくれる相棒との日々は想像以上に楽しい。保護動物を迎えるというのもいいし、犬や猫だけじゃなくてミーアキャットなんてユニークな選択もどうだろう?

Chapter 10

2025.2.21

Photo:Yuko Yasukawa

Edit:Miyoko Hashimoto

HANG OUT VOL.5
Chapter 10 | Live with Animal

保護動物を迎えるという選択。

年々減少傾向にあるが、日本の動物の殺処分件数は依然として多い。この現実に目を背けるのではなく、ぼくたちにできることは何だろう?保護動物を迎えることがひとつの選択肢であり、それは単なる救済にとどまらず、人生を豊かにしてくれる大きな力がある。編集者の小林孝延さんと元保護犬の福は、まさにそれを証明するような関係だ。

PROFILE

小林孝延

小林孝延

1967年、福井県生まれ。月刊誌『ESSE』『天然生活』の編集長を歴任したほか、多数のムック本や書籍をプロデュースしている。2016年から自身のインスタグラムで保護犬・保護猫についての投稿をスタート。元保護犬の福と闘病する妻そして家族との絆を記した投稿が話題になり、2023年にそれらをまとめた『妻が余命宣告されたとき、僕は保護犬を飼うことにした』(風鳴舎)を発売した。

@takanobu_koba

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家族の厳しい状況と友人の助言。

ー小林さんは現在、元保護犬の福ちゃんと4匹の元保護猫と暮らしていますが、迎えるきっかけは何だったのでしょうか?

最初にわが家にやって来たのは福で、それは2016年の終わりごろでした。当時、妻が闘病中で家族が非常に苦しい状況だったんです。そんな時に友人から「犬を迎えるのはどうか」とアドバイスを受けて興味を持ちました。

ーその時、保護動物を迎えるという選択肢はありましたか?

里親を探している保護犬がいるという情報とセットで話が来たので、最初からそれ以外は考えていませんでした。元保護犬を飼っている友人が周りにいましたし、選択肢として特別ものではなかったです。以前よりペットの陳列販売など動物たちの社会問題には疑問を抱いていたので、保護犬を迎えることは自然な流れでしたね。

ー実際に飼っている方がいたら事前知識も得られますし、里親募集の情報も耳に入りやすいですね。

そうですね。友人に相談したのがクリスマスの時期で、妻の誕生日である12月29日までに間に合うように探し始めました。山口県周南市で保護した子犬がいる東京のシェルターに訪れ、そこで出会ったのが福。最初は違う子を譲り受ける予定だったのですが、キャリーケースの奥にずっと丸まって出てこない1匹がいたんです。当時は「あんず」という別名が付いていたのですが、他のみんなよりも大きくなっちゃって引き取り手もいないと聞き「じゃあぼくが…」と手を上げました。

ー出会ったその日に一緒に帰ったんですね。

はい、その帰り道に福と命名しました。ぼくが福井県出身なのも由来のひとつです(笑)。

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わが家に福がやって来た。

ーご家族の反応はどうでしたか?

息子には事前に相談していたのですが、妻と娘には内緒にしていたんです(笑)。でも福が来たら、みんな喜んでくれて。それまで動物を飼ったことがなかったので、みんなで色々調べたり話し合うなかで、家族がひとつになっていく感覚がありましたね。気持ちが沈みがちだった妻にも笑顔が増え、福がやって来てから驚くほど元気になりました。

ー家族間での会話が増えたことで関係性が変わりそうですね。

そうですね。ちょうど娘が高校生くらいの年頃であまり交流もなかったのですが、福が来てからは二人で喋ったり出かけるようになりました。いまでも一緒にキャンプに行ったりしています。

ー福ちゃんの様子はいかがでしたか?

元々臆病で怖がりな性格なので、慣れるまでに時間がかかりましたね。娘が一番最初に仲良くなって、次に妻。特に妻は病気で家にいたのですが、テレビを観ている時なんかも常に隣にいてくっついていました。

ー信頼を得るまでにどのような工夫を?

グイグイ来られると嫌がるので、あえて興味のないふりをしました。例えば、福が部屋に入ってきても気づいていないように振る舞ったり。興味を持ってくれるまで、こちらからいかないというのを徹底しています。たまに衝動を抑えきれない時もあって。本当はムツゴロウさんみたいに触れ合いたいのですが、あれをやると迷惑そうな顔をします(笑)。

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人生を変えた、福という家族以上の存在。

ー福ちゃんを家族に迎えて、小林さん自身に変化はありましたか?

自分ってこんなに愛情があるんだと驚きました。なんて表現したらいいのか分からないのですが、母性本能みたいなのに近いんですかね...。そんな自分を知れたのは大きいです。福がわが家に来てくれたから気づけたことですが、もっと早くから動物との暮らしについて考えていたら、自分の人生も家族との関係性ももっと変わってたのかなぁと思います。

ー本当に福ちゃんによって小林さんの人生は変わったんですね。

家族以上の関係、もはやパートナー的な存在です。もちろん動物と暮らすことで旅行に行きづらいとかマイナスな面もありますが、それ以上に人生を豊かにしてくれたり、こちらが受け取るものがたくさんある。ぼくは編集者という立場なので、自分が経験した動物と暮らすことの素晴らしさをより多くの人に伝えていきたいです。

ー保護犬や保護猫を迎えるという選択に興味のある人は、どんなアクションを起こすのが良いでしょうか?

実際に飼っている知り合いに話を聞くのが早いですが、保護活動をしているシェルターのインスタグラムをチェックするのはおすすめ。ぼくもいくつかフォローしています。興味はあるけど飼えないという人は、最近さまざまな支援の方法があるので、例えばふるさと納税で保護団体に寄付するなども良いと思います。

気になるあの人のペット事情。

愛する相棒との出会いは人それぞれ。一目惚れだったり、偶然の巡り合わせだったり。今回は動物愛好家の3名に、気になるペット事情について聞いてみた。

01

麻生要一郎(料理家)

麻生要一郎(料理家)

1977年生まれ、茨城県水戸市出身。祖父の建設会社を継いだ後、新島で宿を経営し、現在は料理家として活動。宿の看板猫であったチョビと暮らし始めて今年で16年が経つ。

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1. 出会った経緯を教えてください。

当時経営していた宿の庭でヨチヨチと歩きながら彷徨っていたところを捕獲。お世話係だったスタッフが「チョビ」と命名しました。宿の看板猫として、それから水戸の実家で暮らすようになり、現在は都内の自宅で一緒に過ごしています。

2. どんな性格ですか?

穏やかで健やかです。

3. チョビの好物を教えてください。

鰹節が好きです。嫌いなものは特にありません。

4. 好きな遊びは?

お腹をマッサージされるのが好きです。

5. 健康管理で気をつけていることはありますか?

とにかくのびのびと過ごしてもらうのと、食べたいものを食べさせています。

6. 一緒に暮らしてよかったなと思う瞬間は?

一緒に寝ている時。黒い服が毛だらけになるけれど、それも愛おしい。チョビがいない人生なんて考えられません。

7. おすすめのペットグッズは?

〈Cat's ISSUE〉の猫用ブラシ。ネコの毛足の長さに関係なく使えます。これでマッサージすると気持ちがよさそう。〈ルームアンドスプール〉のブランケットも愛用品のひとつです。

02

kika(ヘアメイク)

kika(ヘアメイク)

大阪と東京のサロン勤務を経て独立。雑誌や広告、アーティストのMVなど多彩な活躍で知られている。最近は編み物にハマっていて、つい先日ノイくんの家族になった1年記念でニット帽を編んでプレゼントしたそう。

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1. ノイくんのプロフィールを教えてください。

2023年4月4日生まれ(推定)。犬種はミニチュアシュナウザーです。

2. 名前の由来は?

ミニチュアシュナウザーはドイツの犬種なのですが、我が家の守護神になるように、ドイツのサッカー選手であるマヌエル・ノイアーからノイと名付けました。というのは半分冗談で、ノイはドイツ語で「新しい(new)」という意味です。

3. 出会ったきっかけは?

元保護犬を飼っている知り合いの編集さんが、インスタのストーリーズで里親募集中という文言とともにノイの写真を上げていて一目惚れしたのがきっかけです。それまで動物を飼ったことがなかったので、その方から詳しい話を聞いて、2023年のクリスマスに保護施設へ会いに行きました。

4. どんな性格ですか?

人に慣れていないせいか、出会った当初は腰を抜かすほどビビリでしたが、いまは人も犬も大好きな陽キャです。

5. 好きなもの・嫌いなものはありますか?

さつまいもが好物。エンジン音の大きい車やバイクが苦手です...。

6. ノイのことが好きすぎて、ついしてしまうことは?

可愛すぎて毎日写真を撮ってしまいます。

7. おすすめのペットグッズは?

〈mellowbear〉の早食い防止のフードボウル。とにかく食べるのが早いのですが、このボウルを使ってから今までの倍くらいの時間をかけて食べるようになりました。

03

田中遥(フリーランスPR)

田中遥(フリーランスPR)

大手セレクトショップでプレスを経験後、2021年に独立。現在はプロモーション設計、クリエイティブディレクション、ビジネスプロデュースをメインに活動。数年前からミーヤキャットのマルムとタウと暮らしている。

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1. 出会ったきっかけは?

妻と動物との生活を検討し調べていたところ、ミーアキャットの性格や習性が興味深く感じ、迎え入れることに。2匹とも生後2ヶ月の頃から一緒に暮らしています。

2. 名前の由来は?

マルムは、スワヒリ語で特別という意味の「maalum」から取りました。タウは、音で決めたので特に由来はないです。

3. 性格はそれぞれ違いますか?

真逆ですね。マルムは非常に賢く、家族意識と正義感が強い。ただ家族以外の人間には一切懐かず、神経質で攻撃的な一面も。タウは少し鈍臭く性格も穏やか。誰に対してもフレンドリーです。

4. 好きなもの・苦手なものはありますか?

共通の好物はサーモン、鯛、バナナ。マルムは知らないひと、タウは掃除機が苦手です。

5. 家のなかでお気に入りの場所は?

なるべく高いところに登って辺りを見渡すことが好きだったり、冬場はヒーターの前に立ってくつろいでいます。

6. 一緒に暮らしてよかったなと思う瞬間は?

大袈裟ではなく常にそれは実感しています。特に一緒に昼寝している時が至福の時間。

7. マルムとタウのお気に入りグッズは?

〈無印〉のビーズクッション。

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