ブンがいざなう読書のラビリンス。四冊目
街を歩く、見渡す、止まる、また見渡す。いつからだろう、不思議と建物を観察するようになったのは。渋谷駅はまだ工事中のままで、「のこし」という字が柱の至る所に書かれていて継続を感じるし、代々木上原にあるジャーミイの大きなドームが生み出す開放感に圧倒される。
わたしには到底敵わない高さ、頑丈さ、華やかさ、多くの形容詞を含む建築物。これをわたしと同じ人間がつくっているのだと考えると恐怖さえも感じる。
『パラレル・チューンズ』。建築家・山田紗子の作品集。友達が「山田紗子建築設計事務所」に勤めていることもあって、そしてわたし自身も建物に興味があることから購入した。
彼女を知ったのは住宅「daita2019」で、長く遠くと散歩していた時に見つけた。その時、内側は見えなかったのだが、いくつものスチールの骨組みが交差していてジャングルジムのような雰囲気と自然的で森のような感覚がそこにはあった。
それは人工物と自然物が共存しているような建築で、とても自由で、だからといって奔放ではなく、そこにおおらかさのようなものが感じられたのだ。住民の自由を建物が尊重しているように感じる。
『パラレル・チューンズ』は建築の説明もそうだが、山田紗子のエッセイや思想を含んでいるので、建築に明るくないひとも楽しめる本だと感じた。ページをめくるたびに気持ちのいい色彩感覚にため息をついてしまう。写真もイメージデザインも豊富で、文字を追わなくても楽しい。文学や思想書に飽きたひとは読んでみてもいいかもしれない。