ブンがいざなう読書のラビリンス。五冊目
本が好きだ。読めば読むほど自分の世界に浸かれて、自分のペースで時間を進めることができるから。とっても楽に自分でいることができると思ってしまう。そんな私が今回紹介する本は寺山修司の『書を捨てよ、町へ出よう』だ。
初版が出てから、60年近く月日が経っているこの本をなぜいまになって読んでしまうのか。本が好きなはずなのに「書を捨てて、町へ出よう」という言葉になぜ惹かれてしまうのか。ページをめくると彼の前衛的な思想と巧みな文章に誘われてしまった。私を含めた現代の若者たちはこの書を読むと考え方に通じるところがあるかもしれない。
日々、言葉を紡いでは表に出し、自分の文章で毎日コーヒー一杯分くらい稼げればそれでいい。大きな稼ぎを求めることはきっと世間が許してはくれないから、自分の気持ちいい範囲で書いて、小遣い程度の金をもらえたらそれで十分。大きな稼ぎを求めるよりも自分の言葉で語ることを大切にしていきたい。
仕事柄、私は日々多くの本に触れているわけだけれど、結局その本たちは他人が書いた言葉に過ぎないし、読み物としてはもちろん面白いのだけれど、その言葉に救われたり、何かを変に期待しないのが私だ。だからこそずっと本を愛し、変な期待もせずに楽しめるのかもしれない。そんなことを思いながら、ふと自分の外側の世界に目を向けてみると、本はおろか、SNSで固められている世界がそこらじゅうにある。