ファッションでも音楽でもスポーツでも、どんなジャンルもその人にしか出せないスタイルがある。“Style is Everything”。そう、だれかが言った、スタイルがすべて。『スタイルの履歴書』は、文字通りスタイルのある大人へのインタビュー連載で、毎週月・水・金曜更新。第15回目に登場いただくのは、〈. . . . .RESEARCH〉代表であり、アウトドアからカスタムバイクまで、まさに我が道をいくスタイルを貫く小林節正さんです。
02. 目で見て自然に身についた靴づくりの流れ。
うちの工房はピンヒールパンプスの製造で、それを銀座の高級婦人靴店に納品していました。その小売店を通じて1960年から1970年にかけて、うちの父親は美智子様(上皇后美智子様)の靴をつくっていたんです。そうしたつながりからか、ごくたまに靴をあつらえにくる富裕層のひともいて。あんなきたない工房までわざわざ来てね(笑)。
父親が靴のデザインをするときには、俺に見せながら描いていたので、何かを教わったというよりは目で見て自然に身につけていったという感じでしたね。高度経済成長期で工房では底付する職人が4人、アッパーをつくるひとが2人働いていました。1960年代だと「デザイナー」というポジションはまだ確立されていなかったように思うのだけど、父親は木型とデザインをやってそれを職人につくらせていた。そういうやり方のところは当時はあまりなかったんじゃないですかね。
俺は高校を卒業してすぐにイタリアに渡るんですが、本当はいとこが何人か住んでいたロサンゼルスがよかった。でもそれはダメ出しされたので、じゃあ靴工場に見習いで入りたいからイタリアは、と切り出してみた。それなら、と父親も了承してくれましたが、旅費を自分でまかなうのが条件。白馬八方尾根の旅館で40日ほどバイトをして渡航費用を稼いで、高校を卒業してすぐにアエロフロート機で旅立ちました。どこへ行くのであれ、とにかく違う土地で暮らしたかったんです。
Profile
小林節正(. . . . .RESEARCH〉代表)
1961年1月生まれ、浅草出身。〈. . . . .RESEARCH〉代表。山の〈マウンテン リサーチ〉やカスタムバイクの〈R.E.R〉こと〈ライディングエキップメント・リサーチ〉の展開、さらに2021年にオープンしたキャンプ場「水源の森 キャンプ・ランド」をプロデュースし、不定期で「ANARCHO MOUNTAINEERS」と題したイベントも開催。街も自然も、自由に行き来し自由に楽しむ姿勢は、多くのファンの心を掴んで離しません。
インスタグラム @anarchomountaineers009