スタイルの履歴書。 八木沢博幸 #1

Text: Kenichi Aono

Edit: Yusuke Suzuki、Miyoko Hashimoto

REGULAR

ファッションでも音楽でもスポーツでも、どんなジャンルもその人にしか出せないスタイルがある。“Style is Everything”。そう、だれかが言った、スタイルがすべて。『スタイルの履歴書』は、文字通りスタイルのある大人へのインタビュー連載。毎週月・水・金曜更新で、第2回目は原宿の名店「キャシディ」に立ち続ける八木沢博幸さんの半生を辿ります。

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01. 絵本と海外ドラマに夢中だった子ども時代。

 生まれたころは日本橋浜町や蛎殻町を転々としていて、小学生あたりに栃木県の日光に越しました。東京生まれというだけで田舎者ですね(笑)。1956年5月生まれです。

 取り立てて特徴のない子どもだったと思います。友達とメンコやビー玉をして遊ぶ以外はテレビばかり観ていて。それと『キンダー・ブック』という絵本が好きでバイブルみたいにしょっちゅう読んでいました。なかなか新しい号を買ってもらえなかったから、同じものを繰り返し、という感じで、それを模写したりもしていました。そのころからずっと絵を描くのは好きで、学校に上がってからは書道の時間にも絵を描いていて先生に怒られたりもしましたね(笑)。

 テレビ番組で好きだったのは『名犬ラッシー』。『じゃじゃ馬億万長者』も面白かったです。それからもう少しあとになると『コンバット』。そんなふうに海外のテレビ・ドラマには憧れがありましたね。そういう海外ドラマで作中の洋服を気にしはじめるのは『ペイトンプレイス物語』。ストーリーは全然覚えていないんですが、登場人物の所作やスタイルを漠然といいなと思って観ていました。パペット・アニメーションの『サンダーバード』は登場するマシンやメカはもちろん、人形が着ている服もかっこよかったですね。ウェス・アンダーソンの作品でパペット・アニメを使っているのを観て『サンダーバード』のことが記憶によみがえってきました。

  • 「キャシディ」が神宮前6丁目に構えてからおよそ40年。オープン当初から仕入れ販売を担当し店頭に立ち、八木沢さん本人は謙遜するだろうけれど、ファッション+αを通して原宿を見続ける姿は生き字引きそのものです。

    「キャシディ」が神宮前6丁目に構えてからおよそ40年。オープン当初から仕入れ販売を担当し店頭に立ち、八木沢さん本人は謙遜するだろうけれど、ファッション+αを通して原宿を見続ける姿は生き字引きそのものです。

Profile

八木沢博幸(キャシディ店長)

1956年、東京生まれ栃木育ち。インポートとオリジナルブランドを取り扱う、名実共に原宿の名店である「キャシディ」の店長。店頭での接客はもちちろん、ブログやインスタグラムでも情報を発信しています。

HP:www.cassidy.shop
Instagram:@cassidy_tokyo