TECH FREAK - ギークな未来百貨。
Vol.3 Roomba Combo 10 Max
今年も残り1ヵ月ほど。急に寒くなり、ダウンなんかのアウターが必要になってきた。街もクリスマスムード一色で、忘年会なんて声もチラホラと。一年の終わりを実感していると、師走の恒例行事、大掃除が頭に浮かんでくる。今年こそラクしようと考えていたら、「Roomba Combo 10 Max」が目についた。
いまでは各社から出ているけれど、ロボット掃除機といえば〈ルンバ〉だ。ロボット掃除機の総称が“ルンバ“だと思っているひともいるくらいに、世間に知られている。種類が多いので分かりにくいけれど、選び方は簡単。基本的には、掃除機本体と充電ステーションの組み合わせで性能が決まってくる。「Roomba Combo 10 Max」には、「AutoWash 充電ステーション」と「AutoEmpty 充電ステーション」という2種類の充電ステーションがあり、今回試したのは前者。ほとんど手入れが不要で、ほぼすべてを自動でやってくれるという、ズボラ男にぴったりなやつだ。
そして、この「Roomba Combo 10 Max ロボット+ AutoWash 充電ステーション」をひとことで言いあらわすと、掃除のプロ。それも多分、床に関しては掃除の玄人レベルで。
充電ステーションを組み立て、貯水タンクに水を詰めたら、いざ掃除スタート。水拭きと吸引による掃除を同時に行える本機は、以前よりも拭き取り力が強化され、カメラで汚れを特定して避けたり走行回数を自動的に増やしたり、もちろんアプリでの管理もできたりする。ペットのフンなども感知して避けてくれたり、使っているとどんどんマップの精度もあがっていくといった素晴らしさもあるけれど、一番の見どころは充電ステーションとの組み合わせにある。
掃除後に充電しに戻ってくると、本体のダストボックスからゴミを自動で吸い上げ、充電ステーション内の紙パックへ。ここに60日分ぐらいのゴミを溜めておいてくれるので、ゴミ捨てが実質不要ぐらいにラクになる。そして、充電ステーション内の貯水タンクの水を使用して、モップパッドと充電ステーションを自動で洗浄&乾燥スタート。汚れた水はまた別のタンクへ溜めてくれるので、毎回のゴミ捨てだけでなく、モップパッドを洗うという面倒くさい行動もなくなる。これがかなりストレスフリーなのだ。
実際、自分で掃除した後なのに埃が結構取れるし、もう床の掃除は全部任せて、どんどんサボったほうがいい。そっちの方がきれいになるんだからしょうがない。
欠点としてやや音が大きく、普通の掃除機ぐらいの音がすること、そして床が散らかっていると使いにくいということ。前者は家にいない時間に予約しておけば気にならないし、後者はその分だけ床にものを置かない習慣ができて部屋が片付くという利点になる。いまでは、〈ルンバ〉が掃除しやすいことを意味する造語“ルンバブル”という言葉も生まれ、それに向けた家具もたくさん出ているのだとか。
たしかにペットみたいなかわいさがあり、オフィスで試していたときにも「かわいい!」なんて声があがり、後ろを追いかけるひとがいた。名前をつけられるし、愛着もどんどん湧いてくる。その姿を見て、漫画『宇宙兄弟』のある話を思い出した。
それは、主人公のムッタたち数名が自動制御のローバーをゴールフラッグに向けて走らせるという話だ。さまざまな改造を施すことで苦難を乗り越え、最終的に「ピエコ」と名づけられたそれは、湿地帯を超えたり、乗り越えられない岩を迂回したりとよく頑張った。ムッタたち一行はそれを見守るように後ろを走るも、ゴール手前200メートルで止まり、ゴールすることはできなかった。それでも、なんだか満足気な顔だった記憶がある。
「フイナム」と名づけた「Roomba Combo 10 Max」は無事に帰還できたけれど、そんな試行錯誤があった末にこれも生まれたんだと思う。米国初のロボット掃除機として、初代〈ルンバ〉が誕生したのは2002年。映画『グッド・ウィル・ハンティング/旅立ち』で舞台にもなった「マサチューセッツ工科大学(MIT)」にいたロボット学者たちが設立した「アイロボット」から発売された。1990年に創業した同社は、地球外探査や地雷の除去といった、人が行けない場所で活躍するためのロボットを開発していた。つまり、そんな宇宙の営みが、いまでは自宅で味わえるってわけ。そう考えると、少し安く感じるような…。試しに一度使ってみたいなんてひとに向けて、サブスクもあるらしいから、まずは年末年始に試してみるのもいいのでは?