家具のしつらえからして、若者ではなく年齢を重ねた大人。そしてゴルフ好き。向かって左のスペースには趣味のものがずらりと並ぶ。棚の上段にはゴルフシューズの箱が積まれていて、その横にはマイケル・ジョーダンのフィギュアが。ちなみにジョーダンはNBAプレーヤーでありながら、ゴルフの腕前もプロ並み。身体感覚がずば抜けているひとは、どんなスポーツをやらせてもうまくいくものだ。そして家主はジョーダンだけではなくタイガー・ウッズ好きでもある。中段の3体のフィギュアや関連書籍、そしてヘッドカバーからその愛がうかがえる。さらに〈ナイキ〉のストローハットを買うあたりはファッション好きか。額に入った写真は試合中のタイガーウッズを捉えていて、フォトグラファーコウジロウ・キンノさんによるもの。
ギークにゴルフを極めるのみならず、その他のカルチャーにも関心は向けられている。音楽はレコード派、映画は『フルメタル・ジャケット』のポスターを飾っているが、本棚にはソフィアコッポラのアートブック、とその趣味は広め。クローゼットの中にはツイードのジャケット、ビーントート、ドレスシューズ、ゴルフのスコアカウンター。他にも、パター練習用のおもちゃやゴルフボールの孫の手、ボーダーのニットと、行儀の良さに反して少年心も垣間見える。だんだん人間像が見えてきたが、あとは各々の想像で補ってみてほしい。
本棚を見られるのは裸を見られるより恥ずかしい、というのはどこかで聞いたことがあるけれど、部屋にも同様のことが言える。だから、気になる相手のすべてを知りたいなら、部屋に行くのが手っ取り早い。なぜなら裸以上の内面がそこには透けて見えるから、こんなふうにね。