HANG OUT VOL.3 

Let's Play Fast

Chapter 08

2024.11.14

Text:Noriaki Osaki(Roaster)

Edit:Seiya Kato

Illustrator:Misaki Kawahata

HANG OUT VOL.3

HANG OUT VOL.3 Let's Play Fast

知っておきたいゴルフマナー集。

ゴルフと他のスポーツとの決定的な違いは、レフェリーがいないこと。そのため、ゴルファーは自らが審判となる必要がある。これからゴルフをはじめるひと、ラウンドデビューを検討しているひとは、正しい知識を身につけておかないといけない。とはいえ、堅苦しいのは退屈だから、今回は「これさえ押さえておけば」というマナーをご紹介。キーワードは、昨今のゴルフでもっとも重要視されている“プレイファースト”。

Chapter 08 | Let's Play Fast

ドレスコードは
事前にチェックを。

昨今はカジュアルな服装でのプレイが許されるゴルフ場も増えてきているけど、まだまだドレスコートに厳しいゴルフ場も。ラウンド中は襟付きのシャツをタックインするのが基本で、ショーツスタイルがNGなんてことも少なくない。また、行き帰りの服装にも注意が必要で、ジャケット着用が必須だったり、ゴルフシューズで直接クラブハウスに入ることができなかったり、デニムやサンダルはもちろんNGだったり。初めて行くゴルフ場は、必ず事前にドレスコードをチェックしておくこと。

到着はスタートの1時間前。

慣れていれば20〜30分前に到着していればラウンド開始に間に合うかもしれないけど、最初のうちは最低でも1時間前に到着することを心がけて。フロントでの申込みや着替え、荷物の確認だって必要だし、スタートの10分前には集合しているのが大人としての基本。なにより、ラウンド前の練習はスコアを左右する重要な時間だから。これもプレイファーストのひとつなので、しっかりと守って同伴者やつぎの組を待たせることのないように。

ハーフラウンド2時間15分を
目指そう。

プレイファーストを実践するためのマナーはもちろんだけど、一日のゴルフにかかる時間を把握しておくこともとても重要。全18ホールの半分、つまりハーフラウンド(9ホール)にかかる時間は、2時間15分が目安。後ろの組を待たせることなく、前の組に離されないことを意識するのも忘れずに。ゴルフ場は一組でも進行が遅れると全体に影響が出てしまうので、常に心がけておくべし。

ルーティンは短めに。

ティーショットしかり、パッティングしかり、ゴルフでもっとも重要なのは、どれだけ普段の練習通りにショットできるか。そのためにも、スイングの再現度や集中力を高める素振りは必要不可欠。だけど、長すぎると同伴者を待たせてしまうし、長いルーティンを繰り返してホールアウトが遅くなると、つぎの組にも追いつかれてしまうのでご注意を。1ストローク20〜30秒、遅くても40秒以内には打つように意識すること。

準備ができたら打ってよし。

ホールから一番遠いプレイヤーから順番に打つのがルール。そう思っているひとも多いはず。確かに、これまではそうだったけど、2019年に行われたルール改正から「レディゴルフ」が認められている。要するに、プレイヤー同士の合意さえあれば、準備ができたひとから打ってOKってこと。打つ準備が遅れたときは「お先にどうぞ」、「先に打つね」と声を掛け合い、安全を確認したうえで速やかにプレイしよう。

セカンドショットには
2〜3本のクラブを。

ティーショットでどんな場所にボールが飛んだかは、実際にその場所まで行かないとわからないことも。芝に深く潜っていたり、障害物があったり、思った以上にグリーンから離れていたり。そんなさまざまな状況を考慮して、あらかじめ2〜3本のクラブを持ってボールに向かうのがベスト。クラブを間違えてカートまで取りに戻る、なんてことのないように。ロストボールや池ポチャしたときに備えて、予備のボールを持っておくこともお忘れなく。

打球の打ち込みは
ダメ、絶対。

プレイ中に絶対にしてはいけないことのひとつが、前の組への打ち込み。最悪の場合、生命にかかわる大事故になってしまうことも。プレイファーストを念頭に置きつつ、前の組との距離はしっかりと保つこと。想定される飛距離プラス50ヤード以上離れてから打つのが原則だけど、フォローの風や下り傾斜では70ヤード以上離れた方がよいとされる場合も。打ち込み防止用の信号機や、前の組のカート位置を把握できるナビがカートに付いている場合は、それらもチェックしておくことがおすすめ。

恥ずかしがらずに
大きな声で「ファー!」。

ゴルフでよく耳にするのが「ファー(フォアー)」という掛け声。これは、打ったボールが大きく曲がったときに危険を知らせる合図で、安全を確保するためのもっとも大切なマナーのひとつ。最初はミスショットも多いので、恥ずかしがらずに大きな声で叫ぶように。ちなみに「ファー」の由来は諸説あるが、ティーショットの落下地点に先回りする「フォアキャディ」に危険を知らせるためという説と、イギリスの兵士が戦場で使っていた「beware before(前方注意)」を短縮したという説が有力なんだとか。

カートはいつ動かす?
どこに停める?

セルフプレイでプレイヤーの誰かがカートを運転するとき、移動するタイミングや停車する場所にも注意が必要。まず気を付けたいのは、ショット中にカートを動かさないということ。カートのエンジン音にも配慮を忘れずに。そして、もっとも重要なのがカートを停める位置。ボールが当たる可能性があるので、ショットするひとの前に停めるのは厳禁。一番後方にボールがあるひとに合わせながら前進させていくのが正解だけど、初心者のうちはあまりカートを運転せず、ラウンド慣れしているひとに任せるのがおすすめ。

ショット中はお静かに!

ツアープロなどの試合中継で「お静かに! プレイ中です」というプレートをみかけることも。一打一打に集中するゴルフはどんなスポーツよりもデリケートなので、雑音があるとプロゴルファーでさえ集中できずミスショットに。アマチュアである我々ならなおさらのこと。同伴者がアドレス(打つ準備)に入ったら私語は厳禁。ひそひそ話もマナー違反。それと「ショット中に着信音が!」なんてこともあり得るので、携帯電話やスマートフォンもマナーモードにしておくこと。

自分の影にも気をつけて。

ショット中は、プレイヤーの視界に入らないことが大前提のマナー。神経質になるティーショットやパッティングのときほど注意が必要で、基本的にはプレイヤーの後方にいればまず問題はなし。カート付近で待つのもOKだけど、ボールの行方を確認するのもマナーなので、しっかりと見える位置で待機すること。ボールとカップの延長線上に立つのは絶対に避けるように。あと、案外忘れがちなのが自分の影。プレイヤーが気持ちよくショットできるように、早朝や夕方はとくに気をつけること。

穴を見つけたら埋めるべし。

アイアンショットなどでボールを打ったとき、芝を削って穴を空けてしまうことも。これは初心者、上級者にかかわらず誰でもあり得ることだけど、その穴(ディボット)を放置するのはもちろんマナー違反。もし芝を削ってしまったら、「目土袋」と呼ばれる袋の砂で穴をしっかりと埋めること。周りの芝の茎が伸びて修復が早くなり、ゴルフ場の保護にも繋がるのでしっかりと覚えておくように。もっというと、穴が空いてる場所を見つけたら、さり気なく目土するのが紳士的なゴルファーの振る舞い。みんなのゴルフ場なので、ひとり一人がきれいに使うことを心がけよう。

バンカーレーキで
「立つ鳥跡を濁さず」。

ラウンドデビューしたばかりの頃はバンカーにボールが落ちるなんてことはよくあるので、バンカーでのマナーもしっかりと覚えておくこと。まず、できるだけ足跡を少なくするように、バンカーにはボールの近くから入るのが基本。そして、低い(傾斜が緩い)位置から入ること。高い(傾斜が急な)位置から入ってしまうと、縁に寄せてある砂が崩れ落ちてしまうことがあるのでご注意を。ショット後は、つぎのゴルファーのことを考えて足跡を消すのも忘れずに。必ずレーキの歯がある面で全体をならし、平らな面で整えること。使い終わったらもとの位置に戻して、スマートに立ち去るべし。

グリーンは神聖な場所。

ゴルフ場のなかで一番デリケートなのが、グリーン上。ちょっとの凹みがあるだけでパットに影響が出てしまうので、絶対に走らないこと。そのほかにも、カップインしたときについつい喜んでジャンプしたり、パターを引きずって歩いたりするのももちろんNG。兎にも角にも、芝を傷つけるような行為はすべて厳禁。ちなみに、同伴者のパットライン(ボールとカップの間)を横切るのもマナー違反なので、覚えておくように。

グリーンフォークの
正しい使い方?

グルーン上にできたくぼみ。これは、アプローチでボールが着弾したときにできる「ピッチマーク」と呼ばれるもので、芝を削ったときと同様に修復するのがマナー。目土のように砂で埋めるのではなく、グリーンフォークという道具で周りの芝を寄せながら修復させるのが正しい方法。一度覚えてしまえば誰でも簡単にできるので、ラウンド慣れした同伴者に教えてもらうのがおすすめ。ゴルフ歴にかかわらず、マナーとして自分のグリーンフォークを持参するように。

ピンは抜かずに
パッティングしてもOK。

パッティングのときはカップの目印のピン(旗竿)を抜くのがルールだったけど、いまはピンを抜かずにパッティングしてもOK。ピンの抜き挿しの時間が短縮されるから、これもプレイファーストの一環ってこと。さらに言うと、ロングパットのときに距離感が掴みやすく、ピンにボールが当たって大きくオーバーすることも防げる、なんていうメリットも。ただし、パッティング後にボールがピンに当たりそうだからといって、途中で抜くのはルール違反。ペナルティになるので、ご注意を。

パットの「OK」は
どのくらいの距離?

“OKパット”は、ゴルフ初心者でも耳にしたことがあるはず。次の一打で入るであろう距離に対して、プラス一打でホールアウトを認めるもの。1ストローク省略できるわけだから、これもまたプレイファーストのひとつ。だけど、入るであろう距離ってひとそれぞれ違うし、すごく曖昧な気も。そういうときは同伴者と相談して距離を決めるのもアリ。一般的なOKパットの距離は“ワングリップ”、つまりクラブのグリップ部分の長さ(約30cm)といわれているので、覚えておくと役に立つはず。

カップインしたボールは
優しく2本指で。

グリーンのなかでもっとも繊細で扱いに注意すべきなのが「カップ」。カップインするか否かを左右するわけだから、絶対に傷つけることのないように。カップ近辺を踏まないのはもちろんだけど、カップインしたボールを拾うときも優しく慎重に。手を突っ込んでボールを握るのではなく、カップの縁を触らないように人差し指と中指だけで拾い上げるのがコツ。そしてなにより、この動作が一番スマート。

クラブハウスに芝や土を
持ち込むべからず。

午前中にハーフ(9ホール)を、午後から残りのハーフ(9ホール)をラウンドするのが基本。昼食を挟むこともあるけど、レストランのあるクラブハウスは「神聖な場」であることをお忘れなく。ウェアやスパイクに付いた芝や土はきれいにしてから入るのが大前提のマナー。そこで活躍するのが、エアガンから噴射される強力な風で芝や土を簡単に取り除くことができるエアーシューズクリーナーという優れもの。ほとんどのゴルフ場に設置されているので、クラブハウスに入る前は活用しよう。

普通と違う!?
レストランの上座と下座。

慌ただしかった午前中のハーフを終えて、レストランでランチタイム。4人テーブルに案内されて、いつも通りに自分は出入り口に近い席に、上司や先輩は奥の席に。じつはこれ、間違った知識。ゴルフ場のレストランは上座と下座が逆ということもあるので要注意。正しくは、庭やゴルフコースが見える側が上座で、その反対側が下座。上司や先輩が知らなかったら裏目に出ちゃうこともあるので、状況を見ながらさりげなく気の利いた一言を。

トイレはきれいに使おう!

クラブハウスのトイレには、洗面台付近にミニタオルが置いてあることがほとんど。手を洗ったあとに手を拭くのはいいけど、そのまま回収ボックスに入れる前に、濡らしてしまった洗面台をきれいに拭き取ること。クラブハウスはビジターだけでなくメンバーや多くのひとが活用する場所なので、みんなが気持ちよくプレイできるように心がけること。

キャディさんは
名前で呼んであげてね。

セルフプレイが主流になりつつある昨今のゴルフ、上司や先輩に誘われて名門クラブでラウンドしたり、コンペなんかに参加するようになると、キャディにサポートをお願いする機会もあるはず。そんなキャディ付きラウンドでは、名前で声をかけると紳士だと思われること間違いなし。もちろんマナー違反なんてことはないけど、スタートするときの挨拶で自己紹介してくれるし、基本名札を付けているので、名前をチェックしておくこと。また、休憩所(茶店)などでドリンクを購入するとき、キャディにも渡してあげるとより紳士的。

一覧に戻る