ブンがいざなう読書のラビリンス。六冊目
私はいま、無性に、本当に無性に、ポッサムなるものが食べたくてしょうがない。ポッサムとは豚のバラ肉や肩ロースをじっくりと茹でて、香味野菜と共に葉っぱに巻いて食べる韓国料理のこと。そう、私は、今晩ポッサムに挑戦したい。夏も終わりかけようとしているのかなんなのか、残暑が酷暑でたまったもんじゃない。サッパリトロトロのお肉をパキパキシャッキリの葉物野菜で包みたい。お供は、大根の酢漬けとキムチ、限りなく細く切ったネギともやしのナムル。想像するだけあと6時間の仕事を乗り切れる。
仕事が終わった瞬間、最寄りのスーパーに駆け込み、お肉コーナーの前で立ち尽くす私。塊の肉を買う勇気が出ない。あの長方形のパックを家の冷蔵庫に迎える勇気が出ない。この塊を上手く茹で上げてプルプルにできる自信もなければ、この重さに耐える力があるかも定かではない。恋人と2人で食べるにしても、2人とも胃がとびっきり元気なわけではないから…じっくりと頭を悩ませていた時、薄く切られた豚バラを見つけた。国産で脂がきれいに乗った豚バラ、これを使って楽をしよう! なんだって私には勇気がないから。そう思いながらひとパック500円の豚バラを買って大股で帰った。