スタイルの履歴書。松任谷正隆 #12

Text:Kenichi Aono

Edit:Yusuke Suzuki

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ファッションでも音楽でもスポーツでも、どんなジャンルもその人にしか出せないスタイルがある。“Style is Everything”。そう、だれかが言った、スタイルがすべて。『スタイルの履歴書』は、文字通りスタイルのある大人へのインタビュー連載。毎週月・水・金曜更新で、記念すべき第10回目は音楽家として幅広い活動をしながら、クルマや時計、それにファッションなどを愛する人としても知られる松任谷正隆さんが登場。6月の計13回に及ぶ言葉と写真などから、松任谷正隆さんのスタイルを教えてもらいましょう。

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12. 松任谷由実との仕事とマイカ・ミュージック・ラボラトリーのこと。

 由実さんのプロジェクトでぼくが転機をつくったと自負していることがふたつあります。ひとつは由実さんと結婚してまもなく、おととし亡くなった伊集院静さん(作家)を連れてきたこと。もうひとつはうちに遊びにきていた学生をうちの会社の社長に据えてみたこと。「何かやりたいことある?」と訊ねたら「ヒプノシスにレコード・ジャケットをやってもらいたい」と。それで実現したのが『昨晩お会いしましょう』(1981)です。

 『紅雀』(1978)では「大人の女」を打ち出したけれど世間には受け入れられず、セールスがガタッと落ちました。結婚直後、責任を感じた時期でしたね。1990年に『天国のドア』が200万枚出荷とヒットして、彼女はそれがプレッシャーになったと思うけどぼくは全然。すでに次を考えていたのと、あのアルバムをもっといい音にしたかったんです。

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