ブンがいざなう読書のラビリンス。一冊目

ブンがいざなう読書のラビリンス。一冊目 ブンがいざなう読書のラビリンス。一冊目

Photo: Bun

Text: Bun

Edit: Ryo Muramatsu

COLUMN

東京・吉祥寺の古本屋で副店長を務めるブンさんは、ひと月に20冊以上目をとおす読書家だ。インスタのプロフで「おすすめの本を聞いてこないでください」と宣言する彼女がホントは誰にも教えたくない一冊を毎回、自分の言葉で明かしていく。一度ハマれば抜けられない、本の世界へようこそ。

まぐれで生まれた割には潔い。

どんなことがあっても離れないから。と自分以外の人間に伝えることができるだろうか。分離を許されないのは自分自身以外にあり得るのだろうか。私はひとりだけれど独りではないよ、そうだよきっと大丈夫。まだ生きているんじゃないかな。


明るすぎる夜に出会った。大きな池にまばらに置かれた桜の花。街灯の灯りが不器用に桜を照らし鼻を素早く抜ける爽やかな香りとともに春の趣を運んでくる。日々、ふわりふわりと過ぎて行く時間のなかで、私がどこにいるのかを考えることが多くある。私はいま、井の頭公園にいる。膝の上にはチグハグな付箋が貼られた辞書と手帳、返信用のレターセットがあふれそうに積み上げられている。ふう… ずっと濃いため息、物思いに耽ったような顔で景色に集中する。新しく購入したイヤホンがすこぶるいい、きっとこれが高性能。ノイズキャンセリングを信じていなかった私が、驚く瞬間がやっときた。世界のすべての音を遮断し、流れるのはテリー・キャリアー。寂しさを隠すように手帳の日付を一日一日埋めていく。空白を強く触り、記憶を遡る。

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